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エストニア対外情報局「ロシアはウクライナ交渉で和平を求めていない」

この指摘を巡り、西側諸国内でも意見は分かれているが、いずれにせよロシアが和平交渉を実際の戦争終結につなげる意志をどこまで持っているかは不透明であり、国際社会は慎重な対応を求められている。
2025年4月16日/ウクライナ、南部へルソン州、ロシア軍の空爆を受けた建物(AP通信)

エストニアの対外インテリジェンス機関が10日、ロシアがウクライナ戦争終結をめぐる米国主導の和平交渉で「米国を出し抜く」考えを持っているとの分析を示した。これに対して米側は和平交渉は前進しているとの認識を示しているが、協議の実質的な進展は依然として見られない。

この見解を示したのはエストニア対外情報局(EFIS)である。同局は10日、エストニアの年次安全保障報告を公表するオンライン記者会見で、ロシアが内部の議論を基に「真剣な意味で米国と協力する意図は全くない」とする情報を掴んでいると語った。ロシア側は表向きには交渉で合意を目指す姿勢を見せているが、妥協する意思はほとんどなく、己の要求が全面的に受け入れられることを求めているという。

EFISは報告の中で、「ロシアは米国との交渉を時間稼ぎの機会と捉え、戦争の終結に本気で取り組む意図は薄い」との見方を示した。また「ロシアの高官たちは(和平について)何ら具体的な協力を議論していない」と指摘し、交渉の表面に現れる前向きな発言と内実の意図には大きな隔たりがあると述べた。

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領が依然として軍事的に勝利できると考えている可能性も指摘された。EFISは「プーチン大統領は頭の中でいずれ勝利できると考えている」と述べ、戦争終結よりも軍事的成果の獲得を優先しているとの見方を示した。

一方で、ロシア国内の軍事的現状については、上層部と末端の認識に差があるという内部事情も報告された。EFISはロシアの下級層の当局者ほど現場の困難さを理解しているが、上層部は成功を誇張した報告を受け取っているとし、「真実以上に楽観的な情報が大統領の耳に入っている可能性がある」とした。

米側の見解は異なる。ホワイトハウスの高官は和平交渉について、米側の交渉担当者が「顕著な進展」を遂げていると説明した。具体例として、最近アラブ首長国連邦(UAE)アブダビで米国・ウクライナ・ロシアによる300人以上の捕虜交換が成立したことを挙げ、これは戦争終結に向けた努力が前進している証拠だと強調した。

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も、米国が両国に和平合意の期限として6月を提示したと述べ、交渉加速に向けた意思表示を示している。しかし、交渉は主要な争点での進展が見られず、停戦条件や領土問題などの核心事項は依然として解決に至っていない。

また、ロシアの専門家である元米国家情報長官補佐官は、トランプ(nald Trump)およびロシア側がそれぞれ自らの望むシナリオに沿った情報を受け取っている可能性を指摘。両首脳が自分に都合のよい認識を優先しているため、和平交渉の実質的な進展を妨げているとの見方を示した。

この指摘を巡り、西側諸国内でも意見は分かれているが、いずれにせよロシアが和平交渉を実際の戦争終結につなげる意志をどこまで持っているかは不透明であり、国際社会は慎重な対応を求められている。

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