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ロシア軍がウクライナ首都に大規模攻撃、1人死亡、27人負傷

攻撃は未明から数時間にわたり続き、エネルギー施設や民生インフラが標的となり、10棟以上の住宅が損壊し、広範囲で停電が発生した。
2025年12月27日/ウクライナ、首都キーウ郊外、ロシア軍の攻撃を受けた建物(AP通信)

ロシア軍は12月27日、ウクライナの首都キーウに対し大規模なミサイル・ドローン攻撃を仕掛け、少なくとも1人が死亡、数十人が負傷した。攻撃は未明から数時間にわたり続き、エネルギー施設や民生インフラが標的となり、10棟以上の住宅が損壊し、広範囲で停電が発生した。この攻撃はゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領とトランプ(Donald Trump)米大統領が28日にフロリダ州で予定している会談を目前に控えて行われたものである。

ウクライナ内務省によると、この攻撃により首都キーウなどで少なくとも27人が負傷し、その中には子どもも含まれている。高層住宅にミサイルが命中し火災が発生、住民が避難する中で1人が死亡したとの情報もある。

ウクライナ空軍はロシア軍が500機を超えるドローンと40発以上のミサイルを用いたと報告している。

ロシア国防省は同日、地上・空中・海上から発射した長距離精密誘導兵器や極超音速ミサイルを用いた「大規模攻撃」を実施したと発表し、ウクライナ軍のエネルギーインフラと軍需産業施設を標的にしたと主張した。また、ウクライナがロシア領内の「民間施設」を攻撃したことへの報復だと説明している。ロシアはさらに、領内でウクライナのドローンを多数撃墜したと発表した。

ゼレンスキー氏は攻撃を強く非難し、ロシア政府が平和を望んでいないことの表れだと述べた。また、今回の攻撃は和平に向けた努力に対する露側の回答であるとし、国際社会の支持の重要性を訴えた。ゼレンスキー氏はカナダのカーニー(Mark Carney)首相と会談し、経済支援、国際通貨基金(IMF)や世界銀行による復興資金の解放について協議した。カーニー氏は対ウクライナ支援の必要性を強調し、攻撃を受けたキーウへの支援を継続する意向を示した。

ポーランドではロシアの攻撃に伴い、国境に近い2空港が一時閉鎖されたが、いずれも領空侵犯は確認されていない。その後、航空当局は通常運航へ戻した。また、ロシアは東部ドネツク州や南部ザポリージャ州での作戦について、一定の進展を主張する映像を公開したが、ウクライナ軍は複数地域で攻勢を食い止めていると反論している。

ウクライナと米国の首脳会談では、領土問題や安全保障の保証、ドネツク・ザポリージャを含む紛争地域の取り扱い、今後の復興支援が主要議題となる見込みである。ウクライナ側はNATOに準じた安全保障枠組みを求める一方、ロシア側は譲歩を拒んでおり、和平交渉は依然として難航が予想されている。

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