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米露協議「建設的に進んでいる」ウクライナ和平交渉

この協議はトランプ政権が数か月にわたり進める和平実現への外交努力の一環であり、先週には独ベルリンでウクライナ側と欧州関係者との会合も開かれた。
2025年12月2日/ロシア、首都モスクワの大統領府、ロシアと米国の代表団(AP通信)

ロシア政府は20日、ウクライナ戦争を終結させるための米国が提案した和平案に基づく協議が「建設的に進んでいる」と表明した。

ドミトリエフ(Kirill Dmitriev)大統領特別代表は米フロリダ州マイアミで行われている米露協議について記者団に対し「協議は建設的に進んでいる。すでに始まっており、今日も明日も続く」と述べた。トランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)特使やクシュナー(Charles Kushner)氏らが対応に当たっている。

この協議はトランプ政権が数か月にわたり進める和平実現への外交努力の一環であり、先週には独ベルリンでウクライナ側と欧州関係者との会合も開かれた。ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はウクライナ側の交渉チームが米国や欧州と別途協議を終え、外交努力は「かなり迅速に進んでいる」と自身のテレグラムで表明した。

一方で停戦実現への道は依然として困難であることも強調されている。ロシアは停戦条件や領土問題などで強硬な立場を維持しており、和平案の修正をめぐって欧州やウクライナ側との意見が対立しているとの指摘もある。

ロシアのウシャコフ(Yuri Ushakov)大統領補佐官は欧州やウクライナ側による米案の修正は和平の見通しを曇らせていると述べ、交渉は簡単ではないとの見方を示した。

この協議と並行して、ウクライナ側も米国と新たな交渉ラウンドを開始している。ウクライナのウメロフ(Rustem Umerov)国家安全保障・国防会議書記は米国との間で安全保障の保証や戦後復興計画などを巡る予備協議を進めており、複数の主要文書について合意のための調整を続けていると報じられている。しかし、領土問題に関しては依然として大きな隔たりがあり、最終的な合意には至っていない。

ゼレンスキー氏は米提案の三者協議(米・ウクライナ・ロシア)が意味ある成果、たとえば捕虜交換や首脳会談につながる場合に前向きだと表明しており、和平交渉の一層の推進を望む意向を示した。だがロシア側は、ウクライナを交えた三者会談の計画について公式には否定的な姿勢を見せている。

停戦交渉が進む中でも、戦場では攻撃や軍事行動が続いている。和平交渉の進展と並行してウクライナ側はロシアの軍事圧力や攻撃に直面しているとの分析もあり、外交と戦場双方で緊張が残る複雑な情勢となっている。今回の協議が最終的に戦争終結につながるかどうかは不透明であり、双方の要求の隔たりが依然として大きいとの見方が強い。

このように、米国主導の和平案をめぐる協議は「建設的に進んでいる」とのロシア側の評価が出されたものの、合意への道程には依然として大きな課題が横たわっている。今後の交渉展開と当事国間の妥協点の模索が世界の注目を集めている。

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