ロシア当局が野党指導者「毒殺」か、欧州5カ国が発表、南米由来の毒性物質
エピバチジンは自然状態ではロシアに存在せず、欧州諸国はこの物質の検出が意図的な投与を示すものだと主張している。
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獄中死したロシアの反体制派指導者ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が、南米産の毒性物質を用いて毒殺された疑いがある。欧州の複数の政府が14日、明らかにした。
英・仏・独・スウェーデン・オランダの外務当局は14日、ナワリヌイ氏の遺体から採取した検体を欧州の機関で分析し、南米のヤドクガエルの皮膚に含まれる致死性神経毒「エピバチジン(epibatidine)」が確認されたとする共同声明を出した。エピバチジンは自然状態ではロシアに存在せず、欧州諸国はこの物質の検出が意図的な投与を示すものだと主張している。
声明では、ロシア政府がナワリヌイ氏を標的にする「手段・動機・機会」を有していたとし、この毒の使用は化学兵器禁止条約(CWC)に違反する行為だとして、この事実を化学兵器禁止機関(OPCW)に報告する方針を示した。また5カ国はこの結論に確信を示し、国際的な責任追及が必要だと強調した。
ナワリヌイ氏は汚職追及や大規模な反政府デモを主導したロシアの野党指導者であり、2024年2月16日に北極圏の刑務所で死亡した。当時、ナワリヌイ氏は19年の禁固刑を受けて収監されていたが、その判決は政治的圧力に基づくものだとの批判が国内外で強かった。欧州政府はこの毒物が通常の環境では存在せず、南米のヤドクガエルから得られる稀な神経毒であることから、「毒殺」と断じている。
発表はナワリヌイ氏の死去からまもなく2年となる時期に合わせて行われ、妻であるユリア(Yulia Navalnaya)氏もドイツ・ミュンヘンで開催中の安全保障会議に出席し、声明を支持する姿勢を示した。ユリア氏は「最初から夫が毒殺されたと確信していたが、今やその証拠がある」と述べ、ロシア政府の責任を問うべきだと強く訴えた。
欧州側はエピバチジンが神経剤と類似の作用を持ち、呼吸困難やけいれん、心拍数低下などを引き起こす極めて毒性の高い物質であると説明している。また、同物質はヤドクガエルの皮膚に自然に存在するが、通常の生息環境を離れた地域では見られず、人工的に作られた可能性が高いと指摘した。
ロシア政府はナワリヌイ氏が殺害されたという主張を否定し、死因は「散歩中の急病による自然死」と報告している。過去にも2018年のイギリスでの神経毒事件や2006年のポロニウム事件など、ロシアに関連した毒物事件が国際的な論争を呼んだ経緯があり、今回の発表はその延長線上にあるとみられている。
欧州諸国はナワリヌイ氏の死を巡るこの問題を国際社会に訴え、ロシア政府の説明責任を追及する方針だ。
