ロシアがヒューマン・ライツ・ウオッチを非合法化、弾圧続く
指定された団体と関係を持つ人物は、支援や協力を理由に実刑に処される可能性がある。
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ロシア当局は28日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW) を「望ましくない組織(undesirable organization)」に指定し、国内での活動を正式に禁じた。
これにより同団体のロシア国内における活動は刑事罰の対象となり、撤退と活動停止を余儀なくされることが決まった。
この指定は2015年制定の法律に基づくもので、この法律の下では当局が「国の安全保障や憲法秩序に反する」とみなした外国あるいは国際の非営利団体を「望ましくない」と認定できる。指定された団体と関係を持つ人物は、支援や協力を理由に実刑に処される可能性がある。
HRWは1978年に設立され、世界中で人権侵害の調査・報告活動を行ってきた。ロシアではソビエト崩壊後から数十年にわたり、市民の自由や表現の権利、政治的抑圧などを継続的に監視し、報告を続けてきた。
今回の指定を受け、HRWは声明を発表。「私たちの活動そのものは変わっていない。しかし、政府が抑圧と戦争犯罪の範囲を大幅に広げた現実がある」と批判した。
今回の措置は近年加速しているロシア政府による反体制・批判勢力への弾圧の一環とみられる。同日には、フェミニスト・パンクバンドPussy Riotを極端主義組織に認定する調査が開始されたと発表され、さらには、獄中死した反体制派指導者ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏によって結成された反汚職団体ACF(Anti-Corruption Foundation)の米国登録部門が「テロ組織」に指定されていた。
現在、ロシア当局の「望ましくない組織」リストには275を超える団体が登録されており、独立系メディア、環境保護団体、国際NGO、人権団体など多岐にわたる。このような動きは2015年法の適用拡大と、2022年のウクライナへの全面侵攻以降、政府の言論統制・反政府運動抑圧と密接に関連している。
批判側はこの措置を、「市民社会と独立した監視の完全な排除を狙ったもの」と非難する。HRWはロシアおよび国際社会に対し、今後もロシア国内で起きる人権侵害の監視と報告を続ける意志を示しており、当局による弾圧と報復に屈しない構えをみせている。
ロシアにおける人権擁護団体の締め付けは過去にも行われてきた。たとえば、国内の人権団体やメディアなどが禁止・解散されており、今回のHRW指定はその流れを再確認させるものとなる。
今回の決定はロシア国内での言論・報道の自由、市民社会の存立にとって重大な後退を意味する。国際社会や人権団体はこうした動きがただの政治的弾圧にとどまらず、戦争や権力の隠蔽、さらに重大な人権侵害を長期化させるおそれがあるとして警鐘を鳴らしている。
