◎ロシアの裁判所は執行猶予の条件に違反したとして、野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏を2年8カ月間刑務所に投獄するよう命じた。
◎今回の実刑判決はナワルニー氏の釈放を求めているアメリカとヨーロッパ諸国からのさらなる抗議と国際的非難、そして新たな制裁に発展する可能性がある。
2月2日、ロシアは執行猶予の条件に違反したとして、野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏を2年8カ月間刑務所に投獄するよう命じた。
モスクワの市裁判所はロシア連邦刑務所の要請に基づき、2014年の横領事件の執行猶予(3年6カ月)を懲役刑に変更し、自宅軟禁下にあった約1年を差し引いたうえで、実刑判決を言い渡した。
しかし、ナワルニー氏は2014年の横領事件を「プーチンの陰謀」と完全否定し、被害者とされる企業も「事実無根」と政府を強く非難している。
ナワルニー氏の支援団体は2日早朝から裁判所の外で抗議集会を決行すると呼びかけていたため、警察は周辺の通りを封鎖し、重装備の機動隊員を配備した。
1月31日の抗議集会中に一時拘束されたナワルニー氏の妻、ユリア・ナヴァルナヤ氏は、知人らと共に裁判所に入った。
現地メディアによると、ナワルニー氏は法廷でウラジーミル・プーチン大統領を「毒殺者」と呼んだという。
同氏は昨年8月にソビエト産の神経ガス「ノヴィチョク」をロシアのエージェントに塗布され死にかけたが、ドイツの病院で一命をとりとめた。
治療を終えたナワルニー氏は先月初めにドイツから帰国した直後に逮捕された。それ以来、何万もの市民が同氏の逮捕に抗議する集会を全国各地で決行している。
国内の逮捕者を監視するOVDーInfoによると、1月31日の抗議集会で逮捕された市民は5,400人を超えたという。
今回の実刑判決はナワルニー氏の釈放を求めているアメリカとヨーロッパ諸国からのさらなる抗議と国際的非難、そして新たな制裁に発展する可能性がある。
一方、クレムリンは、「ナワルニー氏の逮捕は政治的理由もしくは、昨年の神経ガス攻撃に関連している」という疑いを却下した。
プーチン大統領のスポークスマン、ドミトリー・ペスコフ氏は1日の記者会見で、「1月31日の抗議集会は違法であり、参加者は逮捕されて当然である。警察はロシアの憲法に従い適切に行動したが、抗議者はとても暴力的だった」と述べた。
ペスコフ報道官は記者団に対し、「憲法は合法的な集会の開催を認めている。しかし、ナワルニーの抗議集会は違法であり、いかなる理由があろうと許可されない」と述べた。
ナワルニー氏が長期間投獄されるのは初めてである。
ナワルニー氏はクレムリンに近い強力なロシア人による汚職疑惑をソーシャルメディアで共有し、支持を拡大してきた。
同氏の支持団体は先月、黒海の近くに建設されたプーチン大統領の神秘的な巨大宮殿のドキュメンタリー映画をYouTubeに投稿した。
それ以来、世界のメディアおよび市民はプーチン大統領の邸宅の見学を許可されている。一方、ロシアの大富豪、プーチン大統領の幼馴染のアルカディ・ローテンバーグ氏は先日、「宮殿は私のものであり、将来、恐らくアパートホテルに変更する予定だ」と語った。