◎ロシアの裁判所は野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏が設立したグループを過激派組織に指定し、非合法化した。
6月9日、ロシアの裁判所は野党指導者のアレクセイ・ナワルニー氏が設立したグループを過激派組織に指定し、非合法化した。
これはウラジーミル・プーチン大統領の体制を確立する対立候補撲滅キャンペーンのひとつであり、ナワルニー氏に関連するグループの活動はより厳しい取り締まりの対象になることが確定した。
モスクワ市裁判所は9日、今回の決定を速やかに発効したうえで、ナワルニー氏の汚職撲滅財団を含む地域ネットワークグループの関係者の公職への立候補を禁じた。グループの関係者は9月19日の議会選挙に立候補することを望んでいた。
ナワルニー氏をめぐる一連の問題は、6月16日に行われる米ロ首脳会談で主要議題のひとつに取り上げられると期待されている。
ナワルニー氏は昨年、ロシアのエージェントにソビエト産の猛毒「ノヴィチョク」を塗布され、半死半生状態でドイツの病院に搬送された。西側諸国はロシアを厳しく非難したが、クレムリンは暗殺未遂への関与を否定している。
ノヴィチョクから回復したナワルニーは今年1月に帰国した直後に逮捕され、秘密裁判で有罪判決を受け、その後強制収容所に押し込まれた。
ナワルニーは9日、弁護士を通じてインスタグラムに声明を投稿した。「腐敗が政府の基盤である場合、腐敗に反対する者たちは過激派に指定されます。私たちは目標を放棄しません。ロシアは私たちの国です。私たちはクレムリンに反対し続けると誓います...」
現地メディアによると、9日の審理も機密資料が取り扱われるという理由により、密室で行われたという。ナワルニー氏の弁護士はビデオリンクを介して審理に出席すると要請したが、プーチン大統領の専属判事はこの要求を却下し、その他の申し立ても全て却下した。
弁護団の代表は判決後の記者会見で上訴すると発表した。
弁護団によると、検察官は、「ナワルニー氏の組織は政府の転覆を狙っていた」と主張したという。
一方、ロシア議会は過激派に指定された組織のメンバーが公職に立候補することを禁止する法律の施行に向けた準備を急いでいる。プーチン大統領は先週、対立候補殲撲滅案に署名しており、法律が施行されれば、ナワルニー氏のグループ関係者の公職への立候補は公式に禁止される。
9月の議会選挙はプーチン大統領の統治を強化する重要な要素のひとつと考えられている。ナワルニー氏のグループ関係者は2024年の大統領選挙に向けた取り組みを加速させる予定だった。
プーチン大統領は議会選挙に先立ち、他の野党に対する取り締まりも強化している。先週、当局は望ましくないグループ(政党含む)に指定された反プーチンのリーダー、アンドレイ・ピヴォヴァロフ議員を逮捕した。
ピヴォヴァロフ議員は逮捕の数日前、関係者を訴追から守るために反プーチングループを解散すると発表したが、当局の魔の手から逃れることはできなかった。現地メディアによると、南部クラスノダール地方の裁判所はピヴォヴァロフ議員に2カ月間の拘留を命じ、調査が終わり次第裁判にかける予定だという。
望ましくないグループに指定された関係者は、2015年に施行された刑法に基づき、最大6年の実刑判決を受ける可能性がある。
ロシアの実業家、ミハイル・ホドルコフスキー氏はプーチン大統領に挑戦したことで罪をでっちあげられ、強制収容所に10年押し込められた。同氏は現在ロンドンで亡命生活を送っている。
ホドルコフスキー氏はAP通信のインタビューの中で、「当局の厳しい取り締まりはプーチンの人気が低下していることを象徴している」と述べた。「当局は統一ロシアの求心力の低下を恐れ、主要野党を抑え込もうとしています...」
元議員のドミトリー・グドコフ氏は9月の議会選挙に立候補することを熱望していたが、先週、金銭に関する罪をでっちあげられ、2日間拘束された。現地メディアによると、クレムリンはグドコフ氏に出国しなければ強制収容所に送ると脅迫したという。グドコフ氏は釈放後、出国した。