◎ロシア当局は9月19日に予定されている議会選挙に先立ち、野党の取り締まりを強化している。
9月17日、アップルとグーグルはオンラインストアからロシアの野党党首アレクセイ・ナワルニー氏の組織に関連するアプリを削除した。
ロシア当局は19日に予定されている議会選挙に先立ち、ウラジーミル・プーチン大統領の統治に影響を与える可能性のある野党のアプリを削除するようアップルとグーグルに命じ、拒否すれば選挙に干渉したと見なし罰金を科すと脅迫していた。
ロシアの裁判所は6月、ナワルニー氏が設立した汚職撲滅財団と同氏の関係者が管理する地方事務所を過激派組織に指定し、組織に関与する者は公職に就けなくなった。
今回の選挙は2024年の大統領選挙の前哨戦と見なされており、プーチン大統領は与党ロシア統一党の完全勝利を強く望んでいる。
現地メディアによると、アップルとグーグルの代表はロシア議会の連邦院で開かれた委員会に招待されたという。会議終了後、委員会は声明で、アップルとグーグルは当局と協力することに合意したと述べた。
クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は17日の記者会見で、「ロシアの法律に基づきアプリの削除に同意した企業の決定を歓迎する」と語った。報道官によると、ナワルニー氏の関係者が開発したアプリはロシアの法律に違反していたという。
ナワルニー氏の関係者が開発したアプリは、議会選挙に出馬するナワルニー派閥の主要公約であるスマート投票戦略を前面に押し出していた。この公約は統一ロシア党の候補者に大きな影響を与える可能性が高いと信じられている。
しかし、当局はナワルニー派閥の取り締まりを強化し、スマート投票戦略を推進する個人や団体は圧力と嫌がらせにさらされていた。
ナワルニー派閥が運営する約50のWebサイトはことごとくブロックされ、数十の支社が閉鎖された。
ナワルニー氏の活動を支援してきたイワン・ジダーノフ氏は17日、アプリが削除されたことを示すスクリーンショットをツイートし、「腐敗と戦う野党チームは過激派組織のレッテルを貼られ、選挙活動を行うこともできない」と投稿した。「アップルとグーグルは大きな間違いを犯しています...」
ナワルニー氏の参謀長のひとり、レオニード・ヴォルコフ氏はフェイスブックに、「アップルとグーグルはプーチンの脅迫に屈した」と書いた。またヴォルコフ氏は、アプリはダウンロードできなくなったが、すでにダウンロードしているユーザーのアプリは機能するはずだと述べた。
AP通信によると、ナワルニー派閥の主要アプリのひとつはロシアのGoogle Playランキングで3位、AppStoreランキングで4位にランクされていたという。
一方、プーチン大統領は政府関係者数十人がコロナウイルスに感染したことを受け、14日から自己隔離を続けている。国営メディアによると、プーチン大統領は17日にオンラインで投票を行ったという。
一部地域の期日前投票所には長蛇の列ができており、独立系メディアは「国営企業の従業員は投票を強制されている可能性が高い」と報じた。
サンクトペテルブルクのメディアは、複数の有権者が異なる投票所で投票していたと報道した。AP通信も複数の投票所で軍学校の生徒と思われる同じ男性グループが投票していたと報じた。
地方選挙委員会は複数の投票所で投票したと思われるグループの取り締まり映像をソーシャルメディアで共有した。取り締まりを受けた男性は地下鉄の駅で投票用紙を手に入れたと述べたが、誰に投票したかは不明。