◎EUはブロック内で使用する天然ガスの約90%を輸入している。
2021年10月6日/ロシア、首都モスクワの郊外にあるノボオガリョボ邸、ウラジーミル・プーチン大統領(Alexei Druzhinin/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

10月7日、ロシア政府はガス価格の高騰に悩まされているヨーロッパへの天然ガス供給を増やす可能性があると述べた。

ドミトリー・ペスコフ報道官はオンライン記者会見の中で、ノルドストリーム2パイプラインの運用を開始する前に、既存のガス輸送ルートの供給を強化できると語った。

ノルドストリーム2はロシアとドイツを結ぶ新しいパイプラインである。ドイツを除く多くの西側諸国は、このパイプラインが稼働することで、ロシアと激しく対立するウクライナへの天然ガス供給に深刻な影響が出ると懸念している。

ペスコフ報道官は記者団に、「可能性がある」と述べた。「ロシアは契約に基づきガスを輸送します。増やすかどうかは取引相手次第です」

一方、ウラジーミル・プーチン大統領は6日、ヨーロッパへの天然ガス販売量を増やすことができると示唆し、ヨーロッパのガス価格は下落した。

EUはブロック内で使用する天然ガスの約90%を輸入している。

プーチン大統領は6日に開催されたオンライン会議の中で、「世界的な景気回復の影響で天然ガスの需要が大幅に増加し、ヨーロッパのガス価格を押し上げている」と述べ、「冬と代替電源(風力や太陽光など)の発電量減少も価格の高騰を後押ししている主要因のひとつである」と強調した。

またプーチン大統領は、天然ガスの供給量を増やすかどうかはEUの努力にかかっていると指摘した。ロシアとEUは長期供給契約を結んでいるが、プーチン大統領は需要に応じてその日の取引価格が変動するスポット取引を望んでいる。

プーチン大統領は、「ヨーロッパのエネルギー市場で発生している問題は、産業の安定と何百万もの人々の福祉と生活に影響を与えるものであり、政治的理由で取引するかどうかを決めるべきではないと思います」と述べた。

これに対しハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相は、欧州委員会のグリーンディール政策がガス価格の高騰を誘発したと非難し、EUの政策に関与しようとするプーチン大統領への批判を繰り返した。

現地メディアによると、欧州委員会はプーチン大統領の発言に関する質問を拒否したという。

プーチン大統領は、ロシアがガス価格の上昇を後押ししていると主張する一部の政治家の批判を強く拒否した。「ロシアは世界、ヨーロッパ、アジアの信頼できるガス供給業者であり、契約に基づき、すべての義務を完全に果たしています...」

アナリストによると、ロシアの半国営企業ガスプロムは長期契約に基づいて天然ガスを供給しているが、追加のガスは販売しておらず、主に国内のニーズに対応しているという。一部のアナリストと政治家はスポット市場に関与しないガスプロムを非難し、「ロシアは最近完成したノルドストリーム2の最終承認を早めるようドイツとEUの規制当局に圧力をかけている」と指摘した。

ヨーロッパのガス価格は6日、メガワット時あたり116ユーロを超え、年初の6倍以上に達した。プーチン大統領の発言後に取引価格は104.52ユーロまで下がったが、それでも高い。

一部のアナリストはこのレベルのガス価格が数カ月続くと、EUの四半期GDPは約5%低下する可能性があると指摘した。

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