SHARE:

ロシア、独公共放送DWを「望ましくない組織」に指定、活動禁じる

司法省は望ましくない組織リストにDWを追加。ロシア国内で同局のメディア活動やコンテンツの共有が禁止されることになる。
ドイツの国営放送ドイチェ・ヴェレ(DW)のロゴ(Getty Images)

ロシア当局は16日、ドイツの公共放送ドイチェ・ヴェレ(DW)を「望ましくない組織」に指定した。これはロシアの法制度の枠内で行われた措置であり、同国での活動を事実上禁止するものである。

司法省は望ましくない組織リストにDWを追加。ロシア国内で同局のメディア活動やコンテンツの共有が禁止されることになる。ロシアの法律では、このリストに載っている組織と関わること自体が刑事犯罪とされ、関係者や支援者に対して罰則が科される可能性がある。

発表は下院の「ロシア内政への外国の干渉を調査する委員会」によって行われた。同委員会はDWについて、「反ロシア的プロパガンダの最前線にいる」と主張。その報道や関連プログラムがロシアの安全や秩序を脅かしていると非難した。

この指定は外国の団体がロシアの憲法秩序や国家安全を損なうと当局が見なした場合に適用される制度であり、過去にも多数のメディア、シンクタンク、非政府組織(NGO)が同様の扱いを受けてきた。これらの組織に関わることや資金提供をすると、数年の刑事罰が科せられる可能性がある。

これに対し、DWは強く反発している。DWの最高経営責任者は声明で、今回の指定を「独立した報道を抑え込む試み」と非難し、言論の自由を侵害するものと断じた。

また、DWはロシア国内外の視聴者に対して引き続き独自の報道を届ける意向を示した。特にウクライナ戦争など、ロシア国内で十分に報じられていない重要なニュースについて情報提供を続けるとしている。

DWは以前からロシア政府の規制の対象となっていた。2022年には「外国の代理人(foreign agent)」に指定され、モスクワの現地事務所は閉鎖され、その後ラトビア・リガに拠点を移していた。また、ロシア国内ではDWのウェブサイトがブロックされ、放送が禁止されるなどの制限が課されてきた。今回の「望ましくない組織」指定は、これまでの措置をさらに強化するものと受け止められている。

DWは世界各地にニュースや情報を配信している。今回の措置はロシア政府と欧米メディアの間に存在する緊張関係がさらに深まっていることを象徴する出来事とみられている。ロシアはこれまでも、ウクライナ侵攻以降、国内外で批判的な立場を取る多くのメディアや組織に対して規制や制裁を強化してきた。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします