ロシア、ベラルーシの旧空軍基地に新型極超音速ミサイルを配備か
オレシュニクは中距離ミサイルで、その射程は最大約5500キロメートルに達するとみられている。
とベラルーシのルカシェンコ大統領(Vladimir-Astapkovich/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信).jpg)
米国の専門家は12月26日、ロシアがベラルーシ東部に位置するクリチェフ近郊の旧空軍基地を再整備し、核搭載可能な新型極超音速ミサイル「オレシュニク」を配備している可能性が高いと発表した。この評価は商業衛星画像の解析に基づいており、米情報当局の見解と一致している
分析に当たったのは、カリフォルニア州ミドルベリー国際研究所とバージニア州のCNA分析機関の専門家チーム。商業衛星企業Planet Labsの画像に見られる特徴、ロシア軍用とみられる戦略ミサイル基地の設備や、確保された鉄道の搬入地点、偽装された発射台から、オレシュニクがこの旧空軍基地跡地に配備されつつあると判断した。評価の確度は90%とされる。
オレシュニクは中距離ミサイルで、その射程は最大約5500キロメートルに達するとみられている。この射程が事実なら、西ヨーロッパの主要都市圏やNATO加盟国の領域にまで到達可能な能力を有することになる。ロシアはすでに2024年11月にウクライナを標的にオレシュニクを実戦使用したとされ、その際にはマッハ10以上の速度に達し迎撃困難であるとプーチン(Vladimir Putin)大統領が誇示していた。
この動きは、ロシアが核戦力を強化し、ウクライナへの支援を行うNATO諸国をけん制する戦略の一環とみられている。専門家の一部は、欧州における米国側の兵器配備計画、特にドイツに配備予定の極超音速ミサイル「ダークイーグル」への対抗措置と指摘する。こうした戦略的な軍備配備は、ロシアと西側間の軍事的緊張をさらに高める可能性がある。
旧空軍基地はベラルーシの首都ミンスクから東へ約307キロ、モスクワからは南西へ約478キロ地点に位置する。ベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は先週、オレシュニクの配備が開始されたと述べていたものの、具体的な場所については言及していなかった。ルカシェンコ氏は兵器配備が欧米の「攻撃的行動への対応」であり、欧州の軍事バランスを変えるものではないと主張したが、西側諸国は懸念を強めている。
ロシア外務省やベラルーシ政府、米国務省などは26日の発表についてコメントしていない。米露間では2010年に締結された戦略兵器削減条約(新START)が有効期限を迎える時期に差し掛かっており、同条約は両国の戦略核兵器配備を規制してきたが、更新を巡る交渉は進展していない。オレシュニクの配備が現実のものとなれば、米露間の軍備管理体制にも新たな試練を投げかけることになる。
また、ウクライナ側はベラルーシ領内でのミサイル配備や軍事利用について警戒感を示している。ウクライナ政府はロシアがベラルーシ領内の住宅や設備を利用してウクライナの防衛網を突破しようとしていると批判しており、同地域が戦略的に重要な前線となりつつあるとの見方を示している。
今後の欧州安全保障環境はさらに不安定化する可能性があり、各国はロシアの動向を厳しく監視しつつ対応策の検討を強化している。
