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ロシア、イランに改良型ドローンを提供か、中東危機の拡大狙う


ロシアはイランに強化したドローンを提供することで、イラン戦争の長期化を狙っている。
2023年5月30日/ウクライナ、首都キーウ、ロシア軍のドローンを撃墜するウクライナの防空システム(Evgeniy Maloletka/AP通信)

米国や欧州の当局者は27日、ロシアがウクライナ戦争で使用した無人機(ドローン)の「改良型」をイランへ送っていると明らかにした。これらのドローンはもともとイランがロシアに供給した自爆ドローン技術をロシア側が独自に発展させたもので、ウクライナでの戦闘に投入されてきたものだ。

AP通信は米欧当局者の話しとして、「ロシアはイランに強化したドローンを提供することで、イラン戦争の長期化を狙っている」と報じた。

それによると、ロシアとイランの当局者は今月、ドローンの移転に関して「非常に活発な」協議を行い、輸送がすでに実行に移された可能性があるという。どの程度の機数が送られたのか、単発的な輸送なのか一連の継続的な支援なのかは明確ではない。少数のドローンでは戦争の結果に大きな影響を与えるものではないとの見解もあるが、専門家らは地域情勢への影響を注視している。

これらのドローンはロシアがウクライナ戦争で多数投入してきた自爆ドローン「シャヘド(Shahed)」シリーズに由来する技術を基盤としているとみられる。シャヘド系ドローンはイランが設計・製造し、ロシア軍はこれを「ゲラン(Geran)」の名称で運用してきた経緯がある。こうしたドローンは比較的低コストで大量に運用できる点から、ウクライナ戦争でも重要な役割を果たしてきた。

イランはこれまでも、地域紛争でドローンを活用してきた実績がある。特に対米・対イスラエルの緊張が高まる中、イランはペルシャ湾や中東地域でドローン攻撃を実施し、こうした能力の強化は当該地域での軍事的優位性に直結しかねない。米欧当局者は今回のドローン移転がイランの戦闘能力をさらに増強すると懸念している。

ただし、ロシア側はこれらの主張を否定している。ロシア大統領府はドローン移転の事実を認めていないものの、イランとの間で軍事・技術協力の対話が続いていることは公然と認めている。両国は戦略的協力関係を維持しており、特に対米制裁の回避や経済的連携を強化する観点から関係を深めてきた。

一方で、米欧やウクライナ側は今回の動きをより広範な地政学的な文脈で分析している。ウクライナをはじめ一部の指導者は、ロシアがイランへの支援を拡大することで戦争が激化し、米欧との対立が深まる可能性を指摘している。ウクライナ戦争と中東情勢は別個の紛争に見えるが、ドローン技術の移転は双方を絡める要素となっているとの見方もある。

この背景には、長年にわたるロシアとイランの関係がある。両国は共に米国の影響力に対抗する立場から協調を続けてきたが、近年は関係が一層深化し、軍事技術や情報共有が進んでいる。特にドローンや関連技術の共有は双方の戦術に大きな影響を与える可能性があるとして、国際社会の監視が強まっている。

米欧当局者はこれらのドローン技術がどのように使われるかを注視すると同時に、地域の安定を損なわないよう外交的圧力を強める必要性を訴えている。今後の動向次第では、中東や欧州の安全保障環境に長期的な影響を及ぼす可能性があるとして、各国政府が対応策を模索している。

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