ルーマニア「やり直し大統領選」、ティックトックで支持呼びかける候補者たち

▽憲法裁判所は昨年12月、大統領選第1回投票の結果を無効と判断し、親ロシア派の極右ジョルジェスク氏の決選投票進出に待ったをかけた。
ルーマニア、大統領選挙に立候補したシミオン氏の選挙ポスター(AP通信)

ルーマニアの「やり直し大統領選」に出馬した候補者たちがティックトック(TikTok)などのSNSを駆使して有権者に支持を呼びかけている。

ルーマニアのティックトックユーザーは約900万人。最もフォロワーが多いのはナショナリストのシミオン(George Simion)氏の約130万人。他の候補は後れを取っている。

投票日は5月4日。シミオン氏は前回投票で4位に終わったが、今回は離脱した極右候補を支持する人々の受け皿になることで、決選投票進出を目指している。

憲法裁判所は昨年12月、大統領選第1回投票の結果を無効と判断し、親ロシア派の極右ジョルジェスク(Calin Georgescu)氏の決選投票進出に待ったをかけた。

やり直し大統領選までの間、国会議長が大統領代行を務めている。

憲法裁は人工知能(AI)を含むデジタル技術の違法な使用や、未申告の選挙資金が使用されたと指摘。また、ジョルジェスク氏がソーシャルメディア・プラットフォームで「優遇措置」を受け、その結果、有権者の意思表示が歪められたとしている。

また憲法裁は「ロシアの介入が疑われる」と指摘した。

選挙管理委員会は先月初め、ジョルジェスク氏のやり直し大統領選への立候補を拒否。ジョルジェスク氏は憲法裁に異議を申し立て、この決定を覆すよう求めた。

しかし、憲法裁はジョルジェスク氏の訴えを退けた。

ルーマニアのメディアによると、同国のティックトックユーザー数はこの選挙介入疑惑後に急増したという。

シミオン氏は民族主義的な主張と感情的な表現を組み合わせたティックトック動画で支持を伸ばしている。

シミオン氏は1日に登校した動画の中で、「再生の時が来た。ルーマニアは新たな道を見つける、私たちは生まれ変わり、より団結し、より強く前進する力を持っているのだ」と有権者に呼びかけた。

地元メディアの分析によると、ティックトック利用者の大半が若者で、64.6%が18〜24歳、33.7%が25〜34歳だという。

首都ブカレスト市内でロイター通信の取材に応じた男性は「ニュースよりSNSで候補の主張をチェックしている」と語った。

シミオン氏は「ルーマニア・ファースト」を公約に掲げ、保守的な政策、ユーロ懐疑主義、米国のMAGA運動との緊密な連携を提唱している。

シミオン氏は大統領選無効判断をクーデターと呼び、抗議デモを主導した。

またシミオン氏は自身およびその政党が勝利した場合、ジョルジェスク氏を首相に任命すると示唆している。

やり直し大統領選は5月4日に予定されている。過半数を獲得する候補が出なかった場合は5月18日の決選投票で勝者を決める。

情報機関はジョルジェスク氏の陣営がティックトックのユーザーに36万1000ユーロの報酬を支払い、ジョルジェスク氏のコンテンツを宣伝させたと主張している。

ジョルジェスク氏は自身の選挙活動費をゼロと公言していた。

捜査当局はジョルジェスク氏が公職選挙法に違反した疑いがあるとみて捜査している。

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