SHARE:

ルーマニア裁判所、米ラップ歌手「ウィズ・カリファ」に実刑判決、薬物所持

事件は2024年7月、カリファがルーマニア東部で開かれたフェスに出演した際に発生した。
米カリフォルニア州ロサンゼルス、ラップ歌手のウィズ・カリファ(AP通信)

ルーマニアの裁判所は18日、米国の人気ラップ歌手であるウィズ・カリファ(Wiz Khalifa、38歳)に対し、麻薬所持の罪で懲役9か月の実刑判決を言い渡した。

事件は2024年7月、カリファがルーマニア東部で開かれたフェスに出演した際に発生した。当時の映像や警察の発表によると、カリファはステージ上で18グラム以上の大麻を所持し、その場で喫煙したとされる。これを受けて地元警察が介入、カリファの身柄を確保した。

裁判所は4月、被告に対して3600レウ(約13万円)の罰金刑を科したが、検察側がこの判決に不服を申し立てた。

検察はより厳しい処罰を求め、控訴裁判所がこれを認めた形となった。控訴裁は「危険薬物の所持、個人的消費のための不正所持」という罪状を適用し、最終的に懲役9か月の実刑判決を言い渡した。判決は確定となり、上告はできない。

ルーマニアは他の欧州諸国と比べても麻薬に対する法規制が厳しく、大麻の所持は刑事罰の対象となる。所持量にかかわらず、3か月から2年の懲役、あるいは罰金が科される可能性がある。今回の判決はこの法の枠内で下されたものである。

カリファは米国出身のアーティストでピッツバーグ出身。ミックステープ「Kush + Orange Juice」で広く注目を集め、その後も「Young, Wild & Free」「See You Again」といったヒット曲で国際的な人気を獲得してきた。彼の音楽活動にはしばしばマリファナ文化が反映されており、それが今回の事件につながったとの見方もある。

現時点でルーマニア当局がカリファの米国への引き渡し請求を行うかどうかは明らかになっていない。カリファはルーマニアに居住しておらず、米国の市民権を有しているため、実際に収監されるかどうかについては不透明な部分が残る。なお、逮捕時には短期間勾留されたものの、長期の拘束はされずに釈放された。

今回の判決は著名な国際的アーティストが欧州の薬物法制の対象となった例として注目されており、音楽業界やファンの間でも波紋を広げている。芸能界関係者の間では、海外での公演時に現地の法律を遵守する重要性が改めて指摘されている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします