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ルーマニア裁判所、アンドリュー・テイトに対する司法上の措置を解除


テイト兄弟は2022年12月、組織犯罪への関与や人身売買などの疑いで逮捕された。
ルーマニア、首都ブカレスト、アンドリュー・テイト被告(ロイター通信)

ルーマニアの裁判所は6日、物議を醸すSNSインフルエンサー、アンドリュー・テイト(Andrew Tate)被告と弟のトリスタン(Tristan Tate)被告に対して課されていた司法管理措置をすべて解除した。人身売買などの容疑に関する捜査は継続中だが、両者は今後、移動制限や警察への定期的な出頭義務から解放されることになる。

今回の判断は首都ブカレストの裁判所が下したもので、決定は最終的なものであり、上訴はできない。これにより、2022年の逮捕以降段階的に緩和されてきた拘束措置は完全に撤廃された。

テイト兄弟は2022年12月、組織犯罪への関与や人身売買などの疑いで逮捕された。当初は警察施設での勾留が続き、その後2023年には自宅軟禁へと移行、さらに外出制限付きの司法管理措置へと段階的に緩和されてきた。今回の決定は、その最終段階としてすべての予防的措置を解除するものとなった。

一方で、事件そのものが終結したわけではない。検察当局は人身売買や組織犯罪への関与といった容疑について引き続き捜査を進めており、2024年には未成年者の人身売買や資金洗浄などを含む別件の捜査も始まっている。複数の容疑が並行して扱われている点が、本件の複雑さを物語っている。

さらに、裁判手続き自体も曲折を経ている。ブカレスト地裁は過去に、検察側が提出した証拠の一部について、証拠能力に問題があると判断し、起訴内容の一部を差し戻した。このため、当初想定されていた裁判開始は遅れ、捜査の再構成が必要となっている。弁護側は今回の決定を「過剰な司法措置の是正」と評価している。

テイトは元キックボクサーで、SNSを中心に強い影響力を持つ人物として知られる。男性優位的な価値観を発信する発言で賛否を呼び、世界的に注目を集めてきた。 こうした知名度の高さから、本件はルーマニア国内にとどまらず国際的な関心を集めている。

テイト兄弟はイギリスでも法的問題を抱えている。英当局は両者に対する逮捕状を発行しており、ルーマニアでの手続き終了後には引き渡しが行われる可能性がある。これにより、本件は複数の司法管轄にまたがる国際的な案件となっている。

今回の司法管理措置の解除は被告側にとっては大きな前進といえる一方、被害を訴える側や捜査当局にとっては今後の立証の難しさを示唆するものでもある。証拠の適格性や捜査手続きの妥当性が問われる中、最終的に裁判に持ち込まれるかどうか、また有罪・無罪の判断に至るまでにはなお時間を要する見通しである。

ルーマニアでは近年、組織犯罪や人身売買対策の強化が進められているが、その過程で司法手続きの厳格性や証拠の信頼性が重要な争点となっている。本件は著名人を巡る事件であると同時に、同国の刑事司法制度の課題を浮き彫りにする事例ともなっている。

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