◎新たな破片はウクライナ国境から数キロ離れた地点で見つかった。
ルーマニア政府は9日、ウクライナとの国境付近でロシア軍のものとみられる新たなドローンの破片を発見したと明らかにした。
ルーマニア領内では4日にもロシア軍のものとみられるドローンの破片が見つかっている。ウクライナ外務省はこれについて、「ロシア軍が夜間に南部オデーサ州イズマイル港(ドナウ川沿い)を攻撃した際、イラン製ドローンがルーマニア領内に墜落・爆発した」と報告していた。
ルーマニアのヨハニス(Klaus Iohannis)大統領は9日、新たな破片が見つかったことについて、「NATO加盟国であるルーマニアの主権を侵害するものであり、容認できず、国民の命と安全にかかわる重大な問題である」と声明を出した。
またヨハニス氏はNATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長と電話会談を行い、新たな破片が領内で見つかったことを伝えたと明らかにした。
ストルテンベルグ氏は9日、「ロシアのドローンがNATO加盟国を攻撃する意図は見受けられない」としながらも、今回の発見は地域情勢を不安定化させるものであると指摘した。
またストルテンベルグ氏は今回の件を受け、米国がNATO加盟国の領空警備を強化するためにF16戦闘機の増派を決めたことについて、「歓迎する」と表明した。
ルーマニア国防省によると、新たな破片はウクライナ国境から数キロ離れた地点で見つかったという。ケガ人は報告されていない。
ロシアはウクライナの穀物輸出を妨害するために、イズマイル港を執拗に攻撃している。港とルーマニア国境は近く、戦争が同国に飛び火するのではないかと恐れる人もいる。
ルーマニア国防省は「ウクライナのドナウ川周辺で調査を続ける」としている。
ヨハニス氏は国民に対し、「ルーマニアはNATO加盟国であり、同国の歴史の中で最も強力な安全保障の恩恵を受けている」と呼びかけた。