◎プロタセビッチ氏はメッセージアプリ「テレグラム」上の反体制派チャンネル「ネクスタ(Nexta)」の共同創設者であり、独裁者のルカシェンコ大統領を厳しく批判してきた。
2021年5月25日/ベラルーシ、ジャーナリストのプロタセビッチ氏(左)とガールフレンドのサペガ氏(ロイター通信)

ベラルーシ国営ベルタ通信は22日、2年前に拘束された反政権派ジャーナリストのプロタセビッチ(Roman Protasevich)氏が大統領恩赦を受けたと報じた。

ベルタはプロタセビッチ氏の声明を引用し、「私は大統領恩赦に関する書類にサインしました。とてもうれしい...」と伝えている。

ベラルーシ当局は2021年5月、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアー社の旅客機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に強制着陸させたうえで、搭乗していたプロタセビッチ氏とガールフレンドのサペガ(Sofia Sapega)氏を拉致した。

プロタセビッチ氏は逮捕後、約1カ月間刑務所に収容され、その後自宅軟禁下に置かれていた。そして今月、ミンスク地裁は同氏に扇動罪などで禁固8年を言い渡した。

サペガ氏も昨年、扇動罪で禁固6年を言い渡されている。

欧米諸国は2年前の強制着陸事件を「国家主導のハイジャック」と断じ、ルカシェンコ政権に厳しい制裁を科した。ベラルーシの旅客機はEU圏内への進入を禁じられている。

プロタセビッチ氏はメッセージアプリ「テレグラム」上の反体制派チャンネル「ネクスタ(Nexta)」の共同創設者であり、独裁者のルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領を厳しく批判してきた。

また同氏は2020年8月の大統領選に抗議する人々をサポートした。

1994年に権力を握ったルカシェンコ氏は独立以来最大の抗議デモを鉄拳でねじ伏せた。当局はデモに参加した市民3万5000人以上を逮捕し、数千人を残酷に殴打。数十の独立系メディアやNGOを閉鎖に追い込んだ。

プロタセビッチ氏は逮捕後、国営テレビで数回にわたって謝罪させられた。

人権団体「ビアスナ人権センター」によると、同国では反政権派の活動に参加・関与した1500人近くが公正な裁判を受けることなく投獄されているという。

その中にはビアスナの創設者であり、昨年ノーベル平和賞を受賞したビアリアツキー(Ales Bialiatski)氏も含まれている。同氏は今年、禁固10年を宣告された。

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