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加工食品の塩分を減らすことで高血圧、心臓病、脳卒中の発生率低下

米国では特に外食や加工食品が日常の食生活に深く入り込んでいることから、健康専門家らは消費者個人が減塩を心がけるだけでなく、食品業界が製品の塩分を削減することの重要性を強調している。
工業的に加工されたジャンクフードの代表格たち(Getty Images)

エイジングや食生活の変化に伴い、高血圧や心臓病、脳卒中といった循環器疾患の予防が世界的な公衆衛生上の課題となっている中、加工食品の塩分(ナトリウム)を減らすことがこうした病気の発症や死亡のリスクを大幅に下げる可能性を示す新たな研究結果が公表された。この研究は米国での発表に先立ち、英仏両国で進められている塩分削減政策を基にした分析であり、専門誌『ハイパーテンション(Hypertension)』に掲載された二つの研究が示す予測結果に基づくものである。

フランスの研究では、バゲットなどパン製品の塩分を減らすと成人1人あたりの1日の塩分摂取量が約0.35グラム低下すると推定され、これにより国民の平均血圧が下がり、年間で1100件を超える死亡が回避できる可能性があるとされた。これらの推計は、パンが伝統的に高塩分の食品でありながらフランス人の食生活に深く根付いていることを踏まえたもので、塩分削減目標に基づいた実践的な影響評価である。

一方、イギリスの研究ではパッケージ食品やテークアウト(持ち帰り)食品の塩分を削減する政策が完全に実行された場合、国民1人あたりの平均的な1日の塩分摂取量を約17.5%減少させることが可能になると推定した。これにより20年の期間でおよそ10万件以上の虚血性心臓病と2万5000件以上の脳卒中が予防される可能性があるとしている。

これらの研究は塩分過剰摂取が血圧を上昇させる主要な要因であるという医療界の長年の知見と一致するものである。過剰なナトリウムは血管内の水分バランスを変え、高血圧のリスク因子となるほか、心血管疾患や慢性腎臓病、認知機能低下との関連も指摘されている。米国心臓協会(AHA)によると、成人の多くが1日あたり推奨される塩分量(ナトリウム2300ミリグラム以下)を大幅に上回る約3500ミリグラムのナトリウムを摂取しているとの報告がある。

米国では特に外食や加工食品が日常の食生活に深く入り込んでいることから、健康専門家らは消費者個人が減塩を心がけるだけでなく、食品業界が製品の塩分を削減することの重要性を強調している。専門家は塩分を控えめにしたとしても味への影響は限定的であり、消費者が日常的に摂取する塩分を大幅に削減できる可能性を指摘する。

また、専門家は加工食品の利用を減らし、野菜や果物、未加工の食材を中心とした食生活への転換が健康に有益であると助言している。食品ラベルの塩分量を確認し、加工度の低い食品を選ぶことが高血圧や心疾患の予防につながるという。

今回の研究結果は政策立案者や食品業界に対して、 国民全体の塩分摂取量を減らすための体系的な取り組みの必要性を改めて示すものであり、健康寿命の延伸や医療費削減にも寄与する可能性があるとして、今後の具体的な塩分削減戦略の議論を後押しするものとみられる。

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