◎南部オデーサを含む黒海とアゾフ海に面する港には2000万トン以上の穀物が滞留している。
2022年5月16日/ロシア、モスクワのクレムリンで開催されたCSTOサミット、プーチン大統領(Alexander Nemenov/Pool/AP通信)

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は28日、フランスとドイツの両首脳に対し、ウクライナ南部の港に滞留している穀物輸送を再開する「用意がある」と表明したが、まずは対ロシア制裁を解除する必要があると迫った

南部オデーサを含む黒海とアゾフ海に面する港には2000万トン以上の穀物が滞留している。

プーチン氏は独仏の首脳とそれぞれ電話会談を行い、世界で発生している穀物の供給不足は「西側諸国の誤った経済・金融政策の結果である」と指摘した。

ロシア大統領府によると、プーチン氏は両首脳に、黒海の港に滞留しているウクライナの穀物の輸出を助ける準備はできていると伝えたという。

またプーチン氏は、「ロシアの肥料や農産物の輸出量を増やせば、世界の食料市場の緊張緩和につながる。それには制裁解除が必要だ」とした。

ロシアとウクライナの穀物や肥料の輸出は戦争の影響で激減し、アフリカや中東を含む貧しい国々で飢餓のリスクが急速に高まっている。

ロシアとウクライナの小麦輸出量は世界市場の30%を占めている。

ロシアの国営メディアによると、プーチン氏は両首脳に、「黒海で立ち往生しているウクライナの貨物船には多くの問題がある」と説明したという。ロシア軍はウクライナが航路に機雷を設置したと主張している。

プーチン氏は対ロシア制裁を解除するのであれば、オデーサの港で立ち往生しているおよそ300隻の運航を許可する意思があると述べた。

フランス大統領府は28日の声明で、マクロン(Emmanuel Macron)大統領とショルツ(Olaf Scholz)独首相はオデーサの封鎖を解除するようロシアに要請したと説明した。

また同大統領府によると、プーチン氏は両首脳に機雷を除去すれば穀物の輸出を認めると約束したという。

西側諸国はウクライナへのさらなる兵器供与について協議しているとみられる。

ロシア大統領府は声明の中で、「プーチン大統領は両首脳に兵器供与の継続は危険と伝え、状況のさらなる悪化と人道危機のリスクについて警告した」と述べている。

フランスとドイツが発表した電話会談の声明は、対ロシア制裁やウクライナへの兵器供与には一切触れていない。

ドイツ首相府は、「ショルツ首相はプーチン氏にゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領との直接会談を要請した」としている。

ロシア大統領府は、「プーチン大統領はウクライナとの対話再開に前向き」と述べているが、ゼレンスキー氏との直接会談には言及しなかったとみられる。

ロシアとウクライナの停戦交渉は直接またはオンラインで何度も行われてきたが、最近は停滞している。

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