▽セルビアでは北部ノビサドの駅で昨年11月に事故が発生して以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
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セルビア・ベオグラードの国営放送前で29日、政府与党に抗議するデモが行われ、数千人がシュプレヒコールを上げた。
デモを主催する学生ユニオンは国営放送が政府寄りの情報を拡散していると非難し、除染服を着て抗議した。「除染が必要だ!」
セルビアでは北部ノビサドの駅で昨年11月に事故が発生して以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
この事故はノビサド中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。
ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
国営放送や地元のタブロイド紙は学生ユニオンを「過激派」「外国勢力」などと呼び、市民に支持しないよう働きかけてきた。
デモは平和的に行われてきたが、これらの親政府メディアは、主催者が暴力を煽り、海外からの命令で政府転覆を狙っていると非難。これを裏付ける証拠は提示していない。
除染服を着て参加した大学生はAP通信の取材に対し、「デモが始まってから数ヶ月間、私たちはメディアの標的となり、常に中傷されてきた」と語った。
デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、駅の改修工事がうまくいかなかったと主張し、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に責任を取るよう求めている。
ブチッチ氏は抗議デモに屈せず、デモ隊を「革命軍」と呼ぶなど、必要に応じて厳しく対処すると警告してきた。
地元当局はベオグラード大学の学部長の逮捕を求めるなど、大学に対する法的措置を予告している。
ブチッチ氏は29日、大統領府周辺に集まった親政府デモ隊の野営地を訪問し、支持者らに声をかけた。
ブチッチ氏は記者団に対し、「国家転覆を画策する勢力は厳しい現実に直面するだろう」と語った。
ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月末、政府との対話に応じるようデモ隊に求め、辞意を表明。ノビサドの市長も同日辞任した。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。