▽セルビアでは昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
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セルビアの首都ベオグラードで15日、政府与党に抗議するデモが行われ、数十万人が通りを埋め尽くした。
警察は参加者10万5000人と見積もっているが、複数のメディアが25万~30万人以上と報じている。
AP通信は自治体関係者の話しとして、「少なくとも32万人がベオグラード中心部に押し寄せたとみられるが、実際の数はもっと多い可能性がある」と報じた。
セルビアでは昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。
この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
15日のデモには学生、数百の労働組合、教師、農家、医師、裁判官、バイカー、野党議員などが参加。ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に辞任を要求した。
学生ユニオンのリーダーは演説で、「私たちの自由と民主主義を奪うことは許さない」と叫び、喝采を浴びた。
ブチッチ政権は駅事故の原因は政府にあるという批判を受け流し、西側の情報機関がセルビアの不安定化を画策していると主張。デモ隊を「外国勢力」と呼んでいる。
警察によると、ベオグラード郊外でデモ隊の隊列に車が突っ込み、3人が負傷したという。
さらに、政府支持者が大統領府近くのベースキャンプで農家と学生を襲撃し、3人の男を含む13人が逮捕された。負傷者の情報はない。
野党は広範な汚職とずさんな改修計画が事故を招いたとして、ブチッチ氏に辞任を要求している。駅の落成式には多くの政府高官が出席していた。
ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月末、政府との対話に応じるようデモ隊に求め、辞意を表明。ノビサドの市長も同日辞任した。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。