セルビア首都で政府与党に抗議するデモ、ブチッチ政権に退陣要求

▽セルビアではノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
2025年5月23日/セルビア、首都ベオグラード、政府与党に抗議するデモ(AP通信)

セルビアの首都ベオグラードで23日、政府与党に抗議するデモが行われ、数千人がブチッチ政権に退陣を求めた。

デモ隊は市中心部にある大統領府の前に集まり、当局に対し、抗議デモに参加している大学関係者への嫌がらせを止め、様々な制裁措置を撤回し、北部ノビサド駅の事故の責任を取るよう要求した。

政府は国立大学の予算を削減し、その権限を著しく制限する教育法改正案を準備している。

セルビアではノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。

この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。

ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。

このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。

この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。

ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は全国の大学に授業の再開と、デモに参加した大学関係者を解雇するよう要求している。

国営放送や地元のタブロイド紙も学生ユニオンを「過激派」「外国勢力」などと呼び、市民に支持しないよう働きかけてきた。

デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修がおろそかになったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めている。

これに対しブチッチ氏は学生や大学教授たちが西側諸国と連携して国家転覆を企てていると主張してきた。

セルビアはEU加盟を目指す一方、中国やロシアとの関係を強化し、西側の対ロシア制裁にも参加していない。

政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。

検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。

EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は22日、学生ユニオンの代表らと面会し、国立大外の権限が維持されることに期待を表明した。

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