フランス郵政公社にサイバー攻撃、親ロシア系ハッカー集団が犯行声明
攻撃は12月22日に始まり、公社の中央コンピューターシステムを標的とした分散型サービス拒否攻撃(DDoS)として確認された。
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フランスの検察当局は24日、親ロシア系のハッカー集団が郵政公社(La Poste)に対する大規模なサイバー攻撃の責任を主張したと発表した。この攻撃はクリスマス直前の配送時期に発生し、郵便物や小包の追跡が不能になるなど、国内の物流網に深刻な混乱をもたらしている。
攻撃は12月22日に始まり、公社の中央コンピューターシステムを標的とした分散型サービス拒否攻撃(DDoS)として確認された。この攻撃により同社のオンラインサービスは停止し、小包の追跡情報や内部管理システムが機能しなくなった。さらに同社の銀行部門(La Banque Postale)のオンライン決済サービスも影響を受け、利用者は通常の支払い処理に支障をきたした。
検察によると、犯行声明を出したのは「Noname057」と名乗る親ロシアのハッカー集団。過去にもNATO関連イベントやオランダでの首脳会談、フランス政府機関のウェブサイトなどを標的にしたサイバー攻撃を展開してきたとされる。この集団は今年に入って欧州各国の警察当局が合同で実施した大規模な取り締まりの対象にもなり、100以上のサーバーが世界各地で押収され、フランスとスペインで2件の逮捕、複数の逮捕状発行に至ったが、活動再開後も攻撃を続けているという。
事件を受け、国内保安局(DGSI)が捜査を主導、攻撃の詳細な経緯や背後関係の解明を進めている。郵政公社側はシステム復旧に全力を挙げており、影響を受けたサービスの再稼働と利用者への影響最小化に努めているが、年末の繁忙期という事情もあり対応は困難を極めている。
フランス政府および欧州各国の関係者は今回の攻撃が単発の犯罪行為にとどまらない可能性を指摘している。フランスを含む欧州のウクライナ支援国はこれまで、ロシアがいわゆる「ハイブリッド戦争」の一環としてインフラ攻撃、情報戦、妨害工作など多様な手法を用いて西側諸国の社会と政治的安定を揺るがそうとしていると警戒を強めてきた。今回の攻撃もそのような広範なサイバーキャンペーンの一部であるとの見方が出ている。
専門家は、重要インフラへのサイバー攻撃が年々高度化・複雑化していると指摘し、政府と民間企業が連携して防御体制を強化する必要性を訴えている。また、金融サービスや物流など国民生活に直結するシステムの安全性を確保することが、欧州全体の安全保障戦略にとっても喫緊の課題であるとの声が高まっている。
