コソボ議会選挙、クルティ首相の与党「自己決定運動」が圧勝
この選挙は今年2月に実施された総選挙で与党が最多得票を得たにもかかわらず、過半数に達せず政権を樹立できなかったことを受けて実施されたものである。
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コソボで12月28日に行われた議会選挙(一院制、120議席)について、現地メディアは29日、クルティ(Albin Kurti)首相の与党「自己決定運動」が地滑り的勝利を収めたと報じた。
それによると、開票率99%時点で同党の得票率は49%となり、他の主要野党を大きく引き離した。
この選挙は今年2月に実施された総選挙で与党が最多得票を得たにもかかわらず、過半数に達せず政権を樹立できなかったことを受けて実施されたものである。このため数カ月にわたり政治的膠着が続き、議会はほとんど機能せず、予算案や重要な法案の承認が遅延するなど、国家運営に深刻な影響を及ぼしていた。今回の選挙はこうした政治的停滞を打開し、政府再編を促す目的で行われた。
クルティ氏は選挙管理委員会の発表を受けて勝利宣言を行い、課題に取り組む意欲を示した。また、早急に新内閣を立ち上げ、政治の安定化と国の発展に取り組む考えを強調した。クルティ氏は支持者に対し、一致団結して前進するよう呼びかけるとともに、多くの重要政策を迅速に実行する必要があると述べた。
ただし、今回の結果で同党が単独で過半数の61議席を確保したかはまだ確定していない。得票率が約49%であることから、他の少数政党との協力や連立が必要になる可能性も指摘されている。このため、選管による最終結果の公表と、各党による協議の行方が今後の焦点となる。
コソボは2008年にセルビアから一方的に独立を宣言して以来、政治的安定の確立と国際的承認の拡大を国家戦略としてきた。今回のように政府の樹立が困難となる事態は極めて異例で、独立後初めての政治的膠着と評されている。コソボの人口約200万人、EU加盟を目指す一方、セルビアとの関係正常化や経済成長といった課題に直面している。
今回の与党勝利はクルティ氏のリーダーシップに対する国民の支持が依然として強いことを示すと同時に、政治的停滞の打開に向けた転機として位置づけられる。クルティ氏はセルビアとの関係で譲歩を拒む姿勢や、国内改革への強引な取り組みで批判も受けてきたが、今回の選挙結果はその政策路線に対する支持の表れとも言える。
国際社会はコソボの政治的安定とEU加盟プロセスに注目しており、与党の勝利が地域の安定につながるかどうかについては慎重な見方も存在する。コソボの経済は依然として脆弱であり、高い失業率や国際援助への依存といった課題を抱えている。今後クルティ政権がこれらの課題にどのように対処し、国内外の信頼を獲得していくかが注目される。
最終的に当選者が確定し、新政府が発足すれば、膠着した政治の打開と安定した国家運営への期待が高まることが予想される。次期政府は来年早々にも予算承認や対外支援協定の再開など、重要な実務課題に取り組む必要がある。
