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チェコ議会選挙、バビシュ元首相の右派野党が勝利、ウクライナ支援停止へ

開票率98%時点でバビシュ元首相率いる野党「ANO(不満を持つ市民の行動)」の得票率が35%。フィアラ首相の連立与党は23%となっている。
2025年10月3日/チェコ、首都プラハの投票所、バビシュ元首相(AP通信)

チェコで10月3日に行われた下院議会選挙(定数200)について、選挙管理委員会が4日、暫定結果を公表した。

それによると、開票率98%時点でバビシュ(Andrej Babis)元首相率いる野党「ANO(不満を持つ市民の行動)」の得票率が35%。フィアラ(Petr Fiala)首相の連立与党は23%となっている。

バビシュ氏はチェコを代表する億万長者であり、2017年から2021年まで首相を務めた。

この勝利により、チェコはウクライナへの軍事支援を停止し、ハンガリーやスロバキアと同じ方向に舵を切ることとなった。

与党連合は2021年の選挙でバビシュ氏を破っていた。

バビシュ氏に近い極右2政党の得票率は合わせて約15%。地元メディアによると、ANOはこの2政党と連立を組む可能性が高いという。

2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、EU加盟国の一部で右傾化が進んでいる背景には、安全保障や経済、エネルギー政策への不安がある。戦争によりエネルギー価格や物価が急騰し、多くの市民が生活に不安を抱くようになった。これにより、現状を打破しようとする強硬な姿勢の政党や、国家主義的な立場をとる右派政党への支持が高まった。

また、戦争に伴いウクライナや他の地域から多くの難民が流入し、移民受け入れに対する反発も強まっている。さらに、EUの対ロシア政策や制裁が各国の経済に悪影響を及ぼしていると考える層が、EU批判を強める右派に共感を示している。

国益を優先し、外国への関与を減らすことを求める声が増えた結果、右派政党の台頭が進んでいる。こうした要因が複雑に絡み合い、右傾化の傾向を加速させている。

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