◎教皇は紛争で荒廃した南スーダンとコンゴ民主共和国でミサや会合を開き、平和を呼びかけた。
バチカンのフランシスコ教皇(Pope Francis)は5日、一部の国が施行している同性愛を犯罪とする法律を糾弾した。
教皇らはアフリカ訪問を終え、南スーダンからローマに戻る専用機内で記者会見を開いた。
教皇は記者団に対し、「同性愛を犯罪とする法律は罪であり、不公平である」と語った。
また教皇は性的少数者(LGBTQ+)を含む同性愛の「傾向」を持つ人々も神の子であり、各国の教会はこれらの人々を歓迎すべきだと述べた。
アフリカ訪問に同行したカンタベリー大主教(Archbishop of Canterbury)とスコットランド聖公会(Scottish Episcopal Church)の司教も教皇の発言を支持した。
教皇は紛争で荒廃した南スーダンとコンゴ民主共和国でミサや会合を開き、平和を呼びかけた。
バチカン市国によると、3つの教会指導者が一堂に会して他国を訪問したのは約500年ぶり。
カンタベリーとスコットランド両司教は教皇の発言を称賛したうえで、教会内で同性愛の権利に関する様々な意見が出ていることを認めた。
英国国教会(Church of England)は先月、同性カップルの教会での結婚を認めないと表明した。
しかし、スコットランド司教は聖書を引用し、次のように述べた。「4つの福音書のどこにも、イエスが出会った人に愛を表現している以外のものは見当たりません。クリスチャンとして、それはどんな状況にあっても、どんな人間にも与えられるものなのです...」
教皇は「カトリック教会は同性カップルの教会での結婚は認められない」という以前の見解を繰り返したが、いわゆるシビルユニオン(パートナーシップ制度)は支持すると述べ、同性愛を禁止する法律は看過できないと強調した。
また教皇は少なくとも50カ国が何らかの形で同性愛を犯罪としており、死刑を伴う法律を施行している国もあると指摘した。
人権団体ILGAヨーロッパ(ILGA-Europe)によると、66の国連加盟国が同性による性行為などを犯罪とする法律を施行しているという。
教皇は反ゲイ・LGBT法を強く非難した。「これは間違っています。同性愛の傾向を持つ人は神の子です。神は彼らを愛しておられます。神は彼らの側にいます。彼らを非難することは罪です...」
現在のカトリックの教義では、同性愛は「逸脱行動」と呼ばれている。教皇は以前、「聖職者に同性愛者がいることを心配している」と発言していた。
一部の保守的なカトリック教徒は同性愛を違法とする法律を支持しているようにみえる。
教皇は2013年の就任直後、「同性愛は罪深い」というカトリックの立場を明確にしたが、「同性愛の指向はそうではない」と主張した。
5年後、教皇はアイルランドを訪問した際、「保護者はLGBTの子どもを勘当できず、愛情ある家庭で育てなければならない」と述べた。