◎教皇「世界は各地で進行中の危機と苦しみに鈍感になっている」
12月25日、フランシスコ教皇はクリスマスの祝福でコロナウイルスの終焉、紛争の解決に向けた対話の促進、貧しい人々の健康とコロナワクチンの展開の充実などを世界に強く求めた。
教皇は演説の中で、「世界は各地で進行中の危機と苦しみに鈍感になっている」と警告し、また、コロナの感染拡大は紛争の解決に向けた努力を脅かしていると述べた。
毎年恒例の「ウルビ・エト・オルビ(復活祭とクリスマスの祝福)」には通常数万人が集まるが、今年もコロナの影響で制限が設けられ、サンピエトロ広場への入場を許可された市民はわずか数千人だった。
イタリアのコロナ新規陽性は今週、初めて1日50,000件を超え、政府は屋外でのマスク着用を義務化した。
教皇は多くの紛争と危機で「意見の不一致」が続いていると警告した。「国際社会は対話を回避する傾向にあり、複雑な紛争と危機の解決に適さない近道を選んでいるように見えます...」
また教皇はシリア、イエメン、イラクの巨大な悲劇は何年も見落とされていると述べた。「私たちは紛争や危機に慣れてしまい、巨大な悲劇が進行していることを見落としています」
さらに教皇は、イスラエルとパレスチナ間の継続的な緊張、レバノンで進行中の「前例のない」経済危機、ウクライナ東部の緊張、エチオピアで進行中の内戦と危機に念頭を置くよう世界に強く促した。
教皇はアジアでも多くの苦しみが進行していると訴え、アフガニスタンとミャンマーの人々のために祈った。
イエメンでは内戦の影響で推定2,000万人、アフガニスタンとエチオピアでもそれぞれ数百万人が餓死の危機に瀕している。シリア内戦とイラクの紛争が解決する見通しは全く立っておらず、レバノンでは過去150年で世界最悪と呼ばれている経済危機が続き、ミャンマーは今年、内戦状態に突入した。
教皇はコロナの感染拡大で孤立した人々や封鎖下で虐待を受ける女性や子供など、影響を受けたすべての人々のために祈った。「暴力に苦しむ女性と女児を慰めなさい。いじめや虐待に苦しむ青年や児童に希望を与えなさい..」
教皇はクリスマス・イブにサンピエトロ大聖堂で開催されたミサでも貧しい人々に多くの思いやりと優しさを示し、人生の些細な出来事を大切にするよう呼びかけた。
バチカンの政府は今週、イタリアでコロナ変異ウイルス「オミクロン株」が検出されたことを受け、政府職員と関係者にワクチン接種を義務付けた。