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教皇レオ14世、イースター前夜祭で世界にメッセージ、平和訴える


教皇は説教の中で、現代社会に広がる恐れや不信、憎しみといった感情を「墓を閉ざす石」にたとえ、それらを取り除くことが人類に求められていると強調した。
2026年4月4日/バチカン市国、サン・ピエトロ大聖堂、祈りを捧げる教皇レオ14世(AP通信)

ローマ・カトリック教会の教皇レオ14世(Pope Leo XIV)は4日、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂で復活祭の前夜祭(イースター・ビジル/復活徹夜祭)を執り行い、戦争に引き裂かれた世界に向けて調和と平和の必要性を強く訴えた。教皇として初めて迎える復活祭にあたり、暗闇の中で灯されたろうそくを手に入場する伝統的な儀式を通じ、キリストの復活と希望の象徴を示した。

教皇は説教の中で、現代社会に広がる恐れや不信、憎しみといった感情を「墓を閉ざす石」にたとえ、それらを取り除くことが人類に求められていると強調した。また復活の物語は単なる宗教的象徴にとどまらず、分断や対立を乗り越える力を示すものであるとし、「今日においても開かれるべき墓がある」との認識を示した。

とりわけ教皇が危機感を示したのは、世界各地で続く武力衝突である。イラン戦争やロシアによるウクライナ侵攻など、長期化する紛争が国際社会に深刻な影響を及ぼしている。教皇はこうした状況に対して、人々が無関心や慣れに陥ることを戒め、「戦争に慣れてはならない」と訴えた。暴力が日常化することは、人間の尊厳や連帯を損なう重大な危機であるとの認識を示した形だ。

教皇は戦争を引き起こす行為そのものを厳しく批判している。これまでの発言でも、武力行使を正当化する指導者の祈りは神に届かないとの立場を示しており、今回の復活祭においてもその姿勢を改めてにじませた。宗教的信仰が対立や暴力の正当化に利用されるべきではないという強いメッセージである。

前夜祭では複数の国の成人10人に洗礼を授ける儀式も行われた。異なる背景を持つ人々が新たに信仰共同体に加わる姿は、教皇が訴える「分断を越えた一致」の象徴となった。こうした宗教的儀式を通じて、教皇は世界に対し和解と共生の可能性を示そうとしている。

教皇は就任以来、平和と対話を重視する姿勢を明確にしてきた。復活祭に先立つ一連の行事でもその方針は一貫しており、聖金曜日にはローマ・コロッセオで行われた十字架の道行で全14留を自ら担い、キリストの受難を体現した。さらに聖木曜日には司祭の足を洗う伝統儀式を行い、謙遜と奉仕の重要性を説いている。こうした行動は、暴力ではなく献身と連帯によって世界の課題に向き合うべきだという教皇の信念を象徴している。

今回の復活祭は世界情勢の緊張が高まる中で迎えられた。特に中東情勢の悪化は国際政治のみならず、経済やエネルギー問題にも波及しており、人々の生活に広範な影響を及ぼしている。こうした状況下での教皇のメッセージは、単なる宗教的呼びかけを超え、国際社会に対する倫理的な警鐘としての意味を持つ。

教皇は恐れや分断を乗り越えるためには、個々人が内面の変革を遂げることが不可欠であると説く。信頼と対話を回復し、他者への共感を取り戻すことが平和への第一歩であるという考えである。復活祭の象徴である「新たな命」は、まさにそのような変化の可能性を示すものと位置づけられている。

教皇は今後、復活祭当日のミサと「ウルビ・エト・オルビ」の祝福を通じて、世界に向けたメッセージを発信する予定である。分断と対立が深まる現代において、宗教指導者としての役割は一層重要性を増している。今回の前夜祭で示された平和への強い訴えは混迷する国際社会に対し、対話と和解の必要性を改めて問いかけるものとなった。

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