ローマ教皇レオ14世「他者への助けを拒むことは神を拒絶することと同じ」
説教には約6000人が参加し、外のサンピエトロ広場にも数千人が集まりスクリーン越しに祈りを捧げた。
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ローマ・カトリック教会の教皇レオ14世(Pope Leo XIV)は12月24日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で行ったクリスマス・イブのミサで、現代社会において貧しい人々や困窮する他者への助けを拒むことは「神を拒絶することと同じだ」と強調した。
説教には約6000人が参加し、外のサンピエトロ広場にも数千人が集まりスクリーン越しに祈りを捧げた。
教皇は聖書に記された、イエスが宿屋に受け入れられず馬小屋で生まれた物語を引用し、「この出来事は今日のキリスト教徒にとって、貧しい人々や見知らぬ人を排除することが神自身を拒むことと同義であるという深い教訓を示している」と述べた。
また教皇は「地上において、人間を受け入れる場所がなければ、神にとっての場所もない。人を拒むことは神を拒むことである」と語り、すべての人間の尊厳を重んじるよう信者に訴えた。
さらに、経済的・社会的なシステムが人間を「単なる商品」として扱う傾向を批判。神がすべての人に平等な尊厳を与えていることを忘れてはならないと強調した。
教皇は移民や貧困層への支援を自身の教皇職の主要なテーマとして掲げており、特に困窮する人々への連帯と助けを強く訴えてきた。
教皇は今年5月にフランシスコ(Francis)前教皇の後任として選出された。説教ではベネディクト16世(Benedict XVI)の言葉も引用し、世界が子どもや貧しい人々、外国人に対して十分な配慮を欠いている現状を批判した。また、「人間の場所をつくるところには神の場所がある」として、小さな馬小屋でさえ神聖な場所になり得るとの考えを示した。
聖堂外の広場では5000人以上が雨の中でスクリーン越しにミサを見守り、教皇が開始前に外に出て集まった信徒に感謝と敬意を示す場面もあった。教皇は参加者の熱意と信仰を称え、「この悪天候にもかかわらずここに来てくれたことに感謝する」と述べた。
バチカンでは25日にもミサが予定されており、伝統の「ウルビ・エト・オルビ(都市と世界へ)」の祝福とメッセージが信者に向けて発信される見込みだ。これは教皇が年に二度発する祝福で、世界平和と人類への祝福を祈るものとされている。
今回の説教は世界的な貧困や移民問題に対するカトリック教会の立場を改めて示すものとなった。教皇は社会的弱者への連帯がキリスト教信仰の核心であると繰り返し訴え、信者に対し日常生活における具体的な助けの実践を呼びかけた。こうしたメッセージは社会的格差の拡大や移民をめぐる対立が続く現代社会において、教会が向き合う課題として大きな意味を持つとの見方もある。
