◎声明によると、儀式用の馬車には「鉄の部品と美しい青銅と錫(すず)の装飾」が施され、ロープと花の装飾はほとんど無傷だったという。
2月27日、イタリアの古代都市ポンペイの遺跡を管理する当局者は、無傷の儀式用馬車を発掘したと発表した。
木と鉄で作られた本体に青銅の装飾が施された四輪馬車はポンペイ遺跡の北、古代都市の壁の外にあったとされる集落遺跡で見つかった。そこでは2018年に3頭の馬の遺骨も発掘されている。
ポンペイ考古学公園の当局者は声明で馬車を「例外的な発見」と表現し、「今回発掘された儀式用馬車は、これまでのところイタリアでは類を見ない、優れた保存状態にある極めてユニークな遺物として保存されます」と述べた。
古代都市ポンペイは西暦79年のベスビオ山の大噴火で消滅した。当局者によると、馬車は構造物の壁と屋根が崩落したおかげで噴火の高熱を回避できたという。また、調査員のひとりは、「敷地までトンネルを掘ることで馬車に損傷を与えず発掘できました。現代の発掘技術がなければ無傷で回収することは困難だったかもしれません」と述べた。
馬車は、古代都市の壁の北に位置する別荘の厩舎に接続された2階建ての柱廊玄関付近で見つかった。
声明によると、儀式用の馬車には「鉄の部品と美しい青銅と錫(すず)の装飾」が施され、ロープと花の装飾はほとんど無傷だったという。
当局者は、「馬車を発見したのは先月7日で、慎重かつ安全に作業を進めた結果、本体に到達するまで数週間かかりました」と述べた。
ポンペイ遺跡公園では貴重な文化遺産を略奪しようとする犯罪行為が複数確認されており、今回の発掘作業は地元の警察と協力して行われた。
考古学チームのリーダー、マッシモ・オザンナ氏は声明の中で、「これは私たちの古代世界への理解を促進する驚くべき発見です」と関係者の奮闘を称えた。
オザンナ氏によると、馬車の華やかな装飾は、おそらく結婚式などの地域の祝祭に使用された可能性を示しているという。
イタリアのダリオ・フランチェスキーニ文化大臣は声明で、「ポンペイの貴重な文化遺産は私たちを驚かせ続けています。調査されていない施設はまだ20ヘクタール以上あるため、私たちは今後も驚異的な発見を何度も目撃するでしょう」と述べた。
考古学者のチームは昨年、ポンペイ郊外のチビタジュリアンで、裕福な男性とその奴隷と思われる遺骨を発掘している。
古代遺跡ポンペイはユネスコ世界遺産に登録されている。