スロベニア議会選、左派与党と右派の得票率拮抗
この選挙は1960年代後半のユーゴスラビアからの独立後、EU・NATO加盟国として成熟した政治体制を持つスロベニアにおいて、自由主義的な政策路線を維持するか、右派ポピュリズム的な方向へ舵を切るかを巡る重要な選択となった。
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東欧スロベニアで3月22日に実施された議会選挙の開票作業が進む中、与党・自由運動(Freedom Movement)と右派ポピュリスト政党・スロベニア民主党(SDS)の間で接戦が続いている。出口調査では両党の得票率は拮抗し、どの政党も過半数を確保するには至らない見込み。小政党との連立交渉が今後の政権形成の鍵を握る情勢となっている。
この選挙は1960年代後半のユーゴスラビアからの独立後、EU・NATO加盟国として成熟した政治体制を持つスロベニアにおいて、自由主義的な政策路線を維持するか、右派ポピュリズム的な方向へ舵を切るかを巡る重要な選択となった。出口調査を行った世論調査会社メディアナと公共放送RTV Sloによると、自由運動は30%前後の票を獲得、SDSが27.5%前後でこれに続いているという。どちらの党も単独で過半数に届く見込みはなく、連立交渉は避けられない状況だ。
自由運動を率いる現職のゴロブ(Robert Golob)首相は選挙戦の中で自由主義や民主主義の価値を強調し、「スロベニアの民主主義や主権はもはや当然のものではない」と有権者に訴えた。ゴロブ政権はこの4年間、社会政策やエネルギー政策の改革を進める一方で、一部の政策では批判も受けてきた。
対するSDSの指導者で3度首相を務めたヤンシャ(Janez Jansa)氏は選挙戦で、「国家を国民の手に取り戻すかどうかの国民投票だ」と主張し、保守・国家主義的な色彩を強めている。ヤンシャ氏はトランプ(Donald Trump)大統領に近い政治スタイルで知られ、スロベニア国内外で右派ポピュリズムの潮流を強化する意向を示してきた。
今回の選挙戦はキャンペーン終盤に一連の疑惑が浮上したことでも注目を集めた。匿名のウェブサイトに投稿された秘密録画映像が政府の汚職に関与しているとの主張とともに流布され、世論に影響を与えた。これについて当局は、ヤンシャ氏の政党と外国の民間情報機関「ブラック・キューブ(Black Cube)」との関係を調査中だ。ヤンシャ氏は同社の顧問と接触したことを認めつつも選挙への介入は否定している。
政治専門家らは、スロベニア国内の有権者が自由主義と保護主義のどちらに重きを置くかを慎重に見極めて投票したと分析している。ゴロブ政権はEU加盟国の中でもリベラルな外交・内政路線を進めてきたが、SDSは国家主義的な政策や国内の伝統的価値観を重視する立場を鮮明にしている。これにより、選挙戦は国内政策だけでなく、EUやNATOにおけるスロベニアの立ち位置を左右する重要な試金石となっている。
出口調査の結果からは、どの党も圧倒的な支持を集められておらず、今後の政権構想は不透明なままだ。選挙管理委員会は22日遅くに予備的な開票結果を発表する予定で、結果が確定すれば各党による連立交渉が本格化する見込みである。
欧州の政治情勢は近年、自由主義と右派ポピュリズムの対立が激化しているが、スロベニアの選挙結果は同地域全体にも影響を与えかねない。国際社会の注目が集まる中、スロベニアの次期政権の方向性が今後の欧州政治の潮流にどのような影響を及ぼすかが注目される。
