イギリスのラッパー、親パレスチナデモで「イスラエル軍に死を」警察が捜査
今回の件をめぐっては、政治家や市民団体からも反応が出ている。
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イギリス・ロンドンで行われた親パレスチナ集会で、イギリスのラッパーが「イスラエル国防軍(IDF)に死を」とする掛け声を主導したとして、警察が捜査を開始した。表現の自由と憎悪表現の境界をめぐり、イギリス社会で議論が広がっている。
問題となっているのは、パンクラップ・デュオ「ボブ・ヴィラン(Bob Vylan)」のボーカルとして活動する「ボビー・ヴィラン(Bobby Vylan、本名パスカル・ロビンソン・フォスター)」である。ロンドン警視庁によると、ロンドン中心部で15日に行われた親パレスチナ集会の演説で、ヴィランが「死を、死を、IDFに」といった掛け声を唱え、集まった参加者の一部がこれに呼応したとされる。警察は映像や証言をもとに、発言が犯罪に当たる可能性があるかどうか調査している。
この集会はパレスチナへの連帯を示すため毎年各地で行われる「アル・クドゥス・デー」の一環として開催された。主催者による親パレスチナ集会のほか、対岸ではイスラエル支持などを掲げる反対デモも行われ、警察は衝突を防ぐため大規模な警備態勢を敷いた。およそ1000人の警察官が動員され、双方の参加者を隔てる措置が取られたという。
警察によると、計12人が逮捕された。容疑は禁止団体への支持表明、暴力的行為、脅迫的または侮辱的な言動などで、警察はデモの状況を調べている。また問題となった掛け声についても、憎悪表現や暴力の扇動に該当するかどうかを含め、法的観点から検討している。警視庁は声明で、こうした発言が「特にロンドンのユダヤ人コミュニティーに大きな懸念を引き起こしている」と指摘した。
ヴィランは政治的メッセージの強い音楽で知られ、イスラエルの軍事行動を批判する発言を繰り返してきた。2025年にはイギリスの音楽フェスで同様の「IDFに死を」という掛け声を観客と唱え、大きな論争を呼んだ。この時も警察が調査を行ったが、証拠が刑事訴追の基準を満たさないとして起訴には至らなかった。
今回の件をめぐっては、政治家や市民団体からも反応が出ている。ユダヤ人団体などは暴力を連想させる危険な発言だとして強く批判する一方、一部の活動家や支持者は、軍部隊への批判的表現であり政治的言論の範囲内だと主張している。
中東情勢をめぐる対立が続くなか、欧州各地ではパレスチナ支持デモやイスラエル支持の集会が頻繁に開かれている。今回の事案はデモの自由とヘイトスピーチ規制のバランスをめぐる問題を浮き彫りにし、警察の調査結果と今後の対応が注目されている。
