◎政府は国境警備隊のパトロールで不法入国を防いできたが、ベラルーシ国境で昨年発生した亡命希望者の大量流入を受け、方針を見直した。
2022年11月2日/ポーランドとロシア飛び地カリーニングラードの国境、かみそり付けワイヤーを敷設するポーランド兵(Michal Kosc/AP通信)

ポーランド政府がロシアの飛び地カリーニングラード州との国境にかみそり付きワイヤーを敷設し始めた。

カリーニングラード州の人口は推定100万人。ポーランドとリトアニアに挟まれるロシアの飛び地である。

国防省は声明で、「ロシアの航空当局が中東や北アフリカとカリーリングラードを結ぶ便の運航を始めたため、国境警備を強化することが決まった」と述べている。

かみそりワイヤーは国境に沿って幅3mの範囲で敷設される。高さは2.5mほど。国防省によると、電子監視システムとカメラも設置されるという。

さらにポーランド側には動物除けのフェンスも建設される。

政府は国境警備隊のパトロールで不法入国を防いできたが、ベラルーシ国境で昨年発生した亡命希望者の大量流入を受け、方針を見直した。

南部のベラルーシ国境に押し寄せた移民の大半が中東の亡命希望者であった。ポーランドとEUはロシアの同盟国であるベラルーシが意図的に移民を送り込もうとしていると非難している。

ポーランド政府はベラルーシ国境にかみそりワイヤーを敷設する工事を6月に終え、今度はより高い高強度フェンスを建設する予定だ。

国防省は声明の中で、「カリーニングラードのワイヤーフェンスはベラルーシ国境のような事態を防ぐ」と述べている。

カリーニングラードの空港当局者は先月初め、ロシア国営メディアのインタビューで、「アラブ首長国連邦(UAE)やカタールを含む湾岸およびアジア地域のフライト誘致を目指す」と述べていた。

報道によると、ポーランドの国境警備隊はこの1カ月間、カリーニングラードから不法入国を試みた者を確認していない。

ポーランドの人権活動家はかみそりワイヤーを「非人道的」と呼び、非難している。

一部の保守派も動物に影響が出るのではないかと懸念を示している。

しかし、ポーランド政府はこれらの主張を退け、「国境の壁を批判する人たちはポーランドに害を与えようとする無頼漢を助けようとしている」と強く反発している。

カリーニングラードは第二次世界大戦後にソビエト連邦の一部となった。

そこにはロシア海軍の拠点があり、町も比較的栄えている。海辺の砂丘、リゾート地、市内に残る旧プロイセン王国の建築物、海洋博物館、琥珀博物館などが観光の目玉となっている。

ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は2日、カリーニングラード国境へのワイヤー敷設に関する質問を避け、「ポーランドの問題」と述べるにとどめた。

2022年11月2日/ポーランドとロシア飛び地カリーニングラードの国境、ポーランド兵(Michal Kosc/AP通信)

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