◎アンジェイ・ドゥダ大統領は27日、物議を醸しているメディア所有法案への署名を拒否し、米国とEU規制当局に配慮した。
12月27日、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は物議を醸しているメディア所有法案への署名を拒否し、米国とEU規制当局に配慮した。
議会下院は先週、この法案を可決し懸念を引き起こした。現地メディアによると、首都ワルシャワを含む主要都市では法案に反対する大規模な抗議デモが行われたという。
ドゥダ大統領が法案に署名すると、欧州以外の組織はポーランドのテレビまたはラジオ局の株式の49%以上を保有できなくなる。
与党「法と正義の統治党(PiS)」は法案を敵対国の影響力を抑える措置と説明し、速やかな成立を求めていた。
しかし、野党と多くの専門家は法案を国内で最も人気の高いメディアで、PiSの保守的な政策に否定的なTVN24を狙い撃ちにしたものと批判した。
米国のディスカバリー・コミュニケーションズはオランダに拠点を置く企業を介して、TVN24の親会社であるTVNを所有している。法案が成立すれば、ディスカバリーはTVNの株式の売却を余儀なくされていただろう。
TVN24などによると、ポーランドのテレビ局またはラジオ局の株式を49%以上保有している外国企業はディスカバリーだけだという。一部の批評家は法案を「ディスカバリー禁止法案」と呼んだ。
ドゥダ大統領は27日の演説で、「この法案はポーランド人に人気がないだけでなく、ポーランドの評判に打撃を与えるだろう」と述べ、拒否権を発動すると宣言した。「議会は従ってください。これはポーランドの名誉にかかわる問題です...」
PiSのアニタ・ツェルウィンスカ報道官は27日、「党首は党員のひとりであるドゥダ大統領の権利を尊重するが、決定に失望している」と述べた。
街頭抗議に参加した一部の市民は法案を「言論統制」と呼び、ポーランドのメインチャンネルであり、毎日数百万人が視聴しているTVN24の報道の自由を保障しなければならないと訴えていた。
デモに参加した野党「市民プラットフォーム」のリーダーであるドナルド・トゥスク議員は27日、「ドゥダ大統領の決定は市民、米国、EU当局の圧力の強さを示している」とツイートした。
ディスカバリーは法案に懸念を表明し、株式の売却を迫られれば、国際仲裁裁判所に訴えを起こすと警告していた。
ポーランドのビックス・アリウ米臨時大使はドゥダ大統領に謝意を示し、「ポーランドの投資環境と両国の民主的価値観を共有するというコミットメントは保護された」と称賛した。「両国の同盟関係は強いと証明されました...」
米国務省のネッド・プライス報道官は今月初めの定例会見で、「法案は外国人投資家の財産権とポーランドの信頼を損なう可能性があり、慎重に議論してほしい」と呼びかけていた。
一方、EUを統括する欧州委員会も法案に懸念を示し、成立すれば「行動を起こす」と約束していた。