◎ポーランド国境では昨年、ベラルーシから同国への亡命を希望する中東の移民数千人が押し寄せ、大騒動に発展した。
ポーランド政府は9日、ベラルーシ国境周辺に課していた非常事態宣言を7月1日に解除すると発表した。
報道官によると、国境沿いの高強度フェンス建設工事は順調に進んでいるという。ただし、宣言解除後もフェンスに監視用電子機器を取り付ける作業が続くため、国境から200m以内への立ち入りは禁じられる予定。
国境フェンスの高さは5.5m。上部にはカミソリワイヤーが取り付けられている。
ポーランド国境では昨年、ベラルーシから同国への亡命を希望する中東の移民数千人が押し寄せ、大騒動に発展した。
ベラルーシはEU加盟国のリトアニアとラトビア国境にも亡命希望者を積極的に送り込んだ。
EUはロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領がEUの制裁に反発し、亡命希望者を「兵器化」したと非難している。
ベラルーシ政府公認の亡命作戦にはアフガニスタン、イエメン、シリア、イラク、アフリカ諸国、さらにはキューバの市民まで参加した。
亡命希望者はポーランドを経由してドイツや他の西欧諸国で新たな生活を始めたいと考えたが、ポーランドの国境警備隊はこれを力強く押し返し、死者が出る事態に発展した。
一度国境を越えた移民を押し戻すことは国際法違反だが、ポーランド政府は法律を改正し、国境手前で人々を跳ね返した。
ポーランドの人権団体は少なくとも20人が寒さや食料不足で体調を崩しベラルーシ領内で死亡したと推定しているが、実際の死者はこれよりはるかに多いと考えられている。
政府の非常事態宣言で国境周辺に立ち入ることは禁じられているため、現場の状況を把握することは困難になっていた。
人権団体はこの押し問答を二重基準と非難している。「ポーランド政府はウクライナ難民は心から歓迎する一方、肌の黒い亡命希望者には放水砲と唐辛子スプレーを浴びせました...」