◎建設費用は約4億ドル(約460億円)で、工事は6月末に竣工する予定。
2022年1月27日/ポーランドとベラルーシの国境付近(Czarek Sokolowski/AP通信)

1月27日、ポーランド政府は隣国ベラルーシの「ハイブリッド攻撃」を防ぐ国境の壁の建設工事を本格的に開始した。

地元メディアによると、建設費用は約4億ドル(約460億円)で、工事は6月末に竣工する予定だという。壁の高さは5.5m、金属製で上部には高強度の有刺鉄線が取り付けられ、国境沿いを監視するカメラと警報システムも取り付けられる。

ポーランド政府は東部クジニツァの国境で進められている基礎工事の様子を初めて公開した。

現場作業員は国境警備隊の監視下で作業を行っており、ベラルーシ側への立ち入りを禁じられている。

ポーランド、リトアニア、ラトビアは昨秋、ベラルーシから入国を試みる移民希望者の波に直面した。移民は主に中東とアフリカ人で構成され、シリアとアフガニスタンの難民も含まれていた。

ベラルーシの独裁者であるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は2020年8月の大統領選以来、多くのベラルーシ亡命者を受け入れたポーランドとリトアニアを敵視しており、移民を大量に送り込むことで混乱を引き起こそうとした。EUはルカシェンコ大統領の試みをハイブリッド攻撃と呼んでいる。

クジニツァの国境警備隊を率いるトマゼフスキー少佐は記者団に対し、「ベラルーシの挑発に備える必要がある」と語った。

トマゼフスキー少佐によると、工事は2つの建設会社が請け負い、24時間体制で行われるという。

ベラルーシのハイブリッド攻撃に直面した国は国境警備の強化、シェンゲン協定の見直し、より厳しい法律の導入についてEU当局と議論している。ハンガリーは2015年にシリアの難民がEUに大量に流入した際、セルビアとクロアチアの国境沿いに壁を建設し、非難を浴びた。

ベラルーシのハイブリッド攻撃は昨年夏ごろ始まり、ポーランド国境警備隊との衝突に発展した。移民希望者は主にドイツを目指している。

リトアニアもベラルーシ国境に壁を建設しており、工事は今のところ順調に進んでいる。

ベラルーシの国営メディアと人権団体によると、これまでに少なくとも12人の移民希望者が国境付近で死亡したという。死因は低体温症と伝えられている。

ポーランドの人権団体は壁の建設に強く反対しているが、最新の世論調査によると、有権者の大半は政府の政策を支持している。

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