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ポーランド当局、ノルドストリームガスパイプライン爆発事件の容疑者逮捕

警察はドイツ当局が発付した逮捕状に基づき容疑者を逮捕した。
2021年11月16日/ドイツ、ルプミン工業団地に設置されたノルドストリーム2ガスパイプラインの看板(Stefan Sauer/ドイツ通信社/AP通信)

ポーランドの検察当局が9月30日、2022年にロシアとドイツを結ぶノルドストリームガスパイプラインが爆破された事件に関与したとして、ウクライナ国籍の男が逮捕されたと明らかにした。

ワルシャワ地方検察庁によると、容疑者は中部プルシュクフで逮捕、送検されたという。

警察はドイツ当局が発付した逮捕状に基づき容疑者を逮捕した。

イタリアでも先月、別のウクライナ人が逮捕されている。

2022年9月26日、バルト海に敷設されているロシアとドイツを結ぶ「ノルドストリーム」および「ノルドストリーム2」の天然ガスパイプラインにおいて、複数の爆発が発生し、大規模なガス漏れが確認された。爆発はスウェーデンとデンマークの排他的経済水域(EEZ)内で発生し、これらの国の地震観測機関も水中での爆発を報告した。ノルドストリーム1はロシアからドイツへの主要なガス供給路であり、ノルドストリーム2は稼働前の段階であったが、両方とも深刻な損傷を受けた。

この事件は、天然ガスの供給に依存する欧州に大きな影響を与えた。当時、ウクライナ戦争の影響でエネルギー供給が不安定化しており、ロシアと西側諸国の対立が深まる中での出来事だったため、爆発は「破壊工作(サボタージュ)」と見なされ、国際社会の注目を集めた。

首謀者の特定には至っていないが、関係各国や報道機関はさまざまな可能性を取り上げている。ロシアは西側諸国の関与を主張し、西側の中では一部でロシアによる自作自演説も浮上した。また2023年以降には、ウクライナ寄りの非国家組織の関与を示唆する報道もなされている。しかし、決定的な証拠は見つかっておらず、捜査は継続中である。

この事件はエネルギー安全保障、海底インフラの脆弱性、地政学的リスクの再認識を促す出来事となった。各国は海底ケーブルやパイプラインなど重要インフラの保護強化を進めるきっかけとなり、またロシア産エネルギーからの脱却を急ぐ欧州諸国の動きを加速させた。

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