▽マクロン氏は5日のテレビ演説で、欧州の同盟国を守るためにフランスの核抑止力を行使することに言及。戦略的な議論を開始することを決定したと明らかにした。
とマクロン仏大統領(AP通信).jpg)
ポーランドとバルト3国は6日、マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が「欧州への核の傘拡大」の可能性を示唆したことについて、提案を歓迎し、協議に応じると表明した。
ブリュッセルのEU本部ではこの日、米国との対立が続く中、ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領を招いて緊急サミットが開かれた。
マクロン氏は5日のテレビ演説で、欧州の同盟国を守るためにフランスの核抑止力を行使することに言及。戦略的な議論を開始することを決定したと明らかにした。
またマクロン氏はロシアを「欧州の脅威」と呼び、「核の傘」で欧州を守るという抑止力政策について同盟国と協議するとした。
フランスはEUで唯一の核保有国であり、保有する核弾頭は290発と推定されている。同盟国イギリスの保有数は260発とされる。
ロシア大統領府は6日、マクロン氏が欧州への核の傘拡大の可能性を示唆したことについて、「ロシアに対する核による脅しのニュアンスが感じられる」と非難した。
ロシアのメドベージェフ(Dmitry Medvedev)安全保障会議副議長も6日、ロシアは脅威だと警告したマクロン氏を揶揄し、「マクロン氏は全く脅威ではなく、公職から退いても惜しまれることはない」と批判した。
ロシアのラブロフ(Sergey Lavrov)外相はモスクワの記者会見で、マクロン氏の発言はロシアに対する「脅し」であると述べ、ウクライナとの和平交渉に影響を与える可能性があると示唆した。
一方、ブリュッセルではいくつかの東欧諸国がマクロン氏の動きを歓迎した。
EUの輪番議長国であるポーランドのトゥスク(Donald Tusk)首相は「マクロン大統領の提案を真剣に検討しなければならない」と述べた。
またトゥスク氏は「話し合わなければならないことが山積しているが、フランスの意欲は非常に重要である」と強調した。
バルト3国も隣国ロシアによる将来の侵略を避けるため、EUとNATOが防衛費増額を求める中、マクロン氏の提案に関心を示した。
リトアニアのナウセーダ(Gitanas Nausėda)大統領は「非常に興味深いアイデアであり、協議に応じる用意がある」と称賛した。
エストニアとラトビアも好意的な反応を示したうえで、米国の核抑止力は欧州の安全保障に欠かせないものであり、トランプ政権との協議を続け、進行中の問題を解決することの重要性を強調した。
ホワイトハウスは6日、ウクライナへの軍事支援を一時停止した措置について、「政府は再考しており、両国間の鉱物資源に関する協定を巡る協議も継続している」と明らかにした。