◎採決は29日に行われる予定。
2021年7月20日/ポーランド、ビアウィストクで開催されたゲイプライドパレード(Agnieszka Sadowska/ Agencja Gazeta/ロイター通信)

10月28日、ポーランド議会はLGBTQコミュニティによるゲイプライドパレードやその他の集会を禁止する立法案「STOP LGBT」を審議した。

地元メディアによると、採決は29日に行われる予定だという。

法案を提出した活動家のクリストフ・カスパズク氏は、LGBTQの権利運動を全体主義の一形態のひとつと批判し、熱烈なスピーチを開始した。

ポーランドでは有権者10万人の署名を集めれば、立法案を議会に提出できる。右翼団体は14万人分の署名を集めたと伝えられている。

カスパズク氏はLGBTQ運動をナチズムと比較したうえで、「構成員たちは自然の秩序を破壊し、ポーランドにテロを導入しようとしている」と主張した。

リベラル派のウロドジミアズ・クザーザスティ下院副議長はこの演説を「今まで聞いた中で最悪」と呼び、非難した。

他の野党議員も提案された法案を非人道的かつ同性愛嫌悪と却下し、「法案はポーランド憲法で保障されている集会の権利を著しく侵害している」と非難した。

一部の極右議員は法案を絶賛し、与党「法と正義の統治党(PiS)」のピオトル・カレタ議員はゲイプライドパレードの写真を掲げ、「私たちは平和を望んでいます」と主張した。「多くの人々がポーランドを中世国家と呼び、非難しています。しかし、私たちは中世で生活したいのです」

地元メディアによると、法案が可決されるかどうかは微妙な情勢だという。一部のPiS議員は、「極端な政策は支持率低下とEUの圧力を増幅させる可能性がある」と懸念を表明した。

ポーランド政府は法の支配をめぐってEUと激しく対立しており、対立をさらに深める政策や措置は取らないと予想されている。欧州委員会はポーランドに割り当てるコロナ回復基金570億ユーロ(約7.6兆円)をまだ承認しておらず、一連の司法紛争が解決するまで承認しないと示唆した。

人権団体アムネスティ・インターナショナルは28日、「法案が可決された場合、ポーランドのLGBTQの権利はこれまで以上に大きなリスクにさらされる」と警告した。

アムネスティのニルス・ムイズニエックス氏は声明の中で、「この憎むべき法案を拒否しなければなりません」と述べた。「政府の極端な政策は憎悪をあおり、偏見や差別を助長しています...」

保守的なアンジェイ・ドゥダ大統領と極右議員たちはLGBTQのパレードや集会を激しく非難し、「LGBTイデオロギー」は若者を同性愛に走らせ、ローマカトリックの価値観を脅かすと主張してきた。

反LGBTQを推進する政策は昨年の大統領選挙期間中に提起された。また、超保守的なカトリック組織が主導する地域は、反LGBT決議を採択することでLBGTフリーゾーンと呼ばれる地域を構築した。

しかし、反LGBT決議を採択したいくつかの地方自治体はEU予算凍結の脅威に直面し、決議を取り消した。

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