パリ裁判所、政府のSHEINプラットフォーム停止請求を却下
政府は同社のサイト上で違法な商品が販売されているとして停止を求めていたが、裁判所はこの措置が「過度」であるとして認めなかった。
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フランス・パリの裁判所は19日、政府が中国の通販大手「SHEIN(シーイン)」のオンラインプラットフォームを一時停止するよう求めた訴えを却下した。政府は同社のサイト上で違法な商品が販売されているとして停止を求めていたが、裁判所はこの措置が「過度」であるとして認めなかった。
問題の発端は11月初旬、消費者保護当局と財務省がSHEINのオンラインマーケットプレイスで禁止されている「クラスA」武器や児童のような外見をした性玩具が販売されているのを発見したことだ。この発見は同社がパリに初の常設店舗を開設した直後に明らかになり、政府は11月5日にプラットフォームの停止手続きを開始した。
SHEINは当局からの指摘を受け、違法商品を即時にリストから削除するとともに、第三者出店者によるマーケットプレイス部分の大部分を閉鎖した。また成人向け商品のカテゴリー自体も一時的に非公開とした。パリ地裁はこれらの対応が迅速であったことを評価し、禁止商品が「断発的にしか販売されていなかった」として、サイト全体の停止を命じる理由には至らないと判断した。
ただし裁判所は、再発防止のための条件も付した。性玩具など成人向け商品の販売再開には、購入者の年齢を確実に確認する仕組みを導入する必要があるとし、年齢確認が不十分な場合には1件ごとに罰金が科される可能性があるとの判断を示した。SHEIN側は効果的な年齢確認システムの導入は容易ではないとの認識を示しており、成人向けカテゴリーを当面閉じたままにする意向を示している。
SHEINは裁判の結果を歓迎し、「フランスの消費者を保護し、現地の法令や規制に準拠することを最優先に引き続き取り組む」との声明を発表した。同社はフランス当局との協力を強化し、コンテンツ管理体制の改善を進めていくとしている。
一方で当局側は、違法商品がプラットフォーム上に登場した経緯について、EUのデジタルサービス規則に基づく調査を欧州委員会にも求めており、SHEINのような大規模オンライン仲介業者の監視体制が十分かどうかの検証を進める方針だ。
この裁判は急成長する海外発ECプラットフォームに対して各国が消費者保護や商品安全性の観点から規制強化を模索する中で行われたものであり、フランス国内外で大きな注目を集めていた。
SHEINは衣料品など多数の商品を販売する一方、規制への対応の難しさや監督の甘さを指摘されることもあり、今回の判決は今後のオンラインプラットフォーム規制のあり方を巡る議論にも影響を与える可能性がある。
