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ハンガリー首相「ロシアではなくEUこそがハンガリーの脅威」

この発言は与党フィデス・ハンガリー市民同盟が反EUキャンペーンを強める中でなされたもので、国民の関心を外部の脅威へと向ける狙いがあるとみられる。
2026年2月12日/ベルギー、ブリュッセル、EUサミット会場に向かうハンガリーのオルバン首相(AP通信)

ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相は14日、4月12日に予定されている議会選挙を前に、ロシアではなくEUこそがハンガリーの「本当の脅威」だと訴える演説を行った。この発言は与党フィデス・ハンガリー市民同盟が反EUキャンペーンを強める中でなされたもので、国民の関心を外部の脅威へと向ける狙いがあるとみられる。

オルバン氏は選挙演説で、EUの影響力を旧ソ連支配期になぞらえ、「自由を愛する者は東(ロシア)を恐れるべきではなく、ブリュッセル(EU)を恐れるべきだ」と述べた。またEUの政策がハンガリーの主権を侵害していると主張し、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領やロシア自体を脅威として強調する西側の見方を「原始的で真剣さに欠ける」と一蹴した。

オルバン氏はこれまで、ロシアによるウクライナ侵攻後もウクライナへの軍事・財政支援に強く反対し、EUやNATOの同盟国とは対立する姿勢を維持してきた。ハンガリーはロシアとの関係を比較的良好に保つ一方で、EU主導の対ロ政策を批判している。

世論調査によると、フィデスは最大野党TISZA(尊敬と自由)とその指導者マジャル(Péter Magyar)党首に支持率で遅れを取っている。オルバン氏にとって現在の選挙は2010年に政権を掌握して以来最も厳しい戦いとなっている。多くの有権者は経済停滞や汚職問題を重視し、EUとの関係修復を掲げるTISZAへの支持が広がっているという。

オルバン氏は演説で、EUや多国籍企業、金融界を批判し、これらの勢力がハンガリーの政治に介入し、政府を倒すための準備を進めていると主張した。また、再選した暁にはEUの「影響」を一掃し、国家主権を守ると誓い、大好きなトランプ(Donald Trump)米大統領の支持に感謝の意を示した。トランプ氏はこの選挙でオルバン氏を公に支持している。

オルバン政権は過去にも、EUがハンガリーの民主主義や法の支配を侵害していると批判される政策や司法改革を進めた結果、EUから数十億ユーロ規模の支援が凍結されている。これに対しオルバン氏はEUの決定を拒否するなど、ハンガリーとEUの関係は深刻な緊張状態にある。

議会選を巡り、オルバン氏とフィデスはEU批判を強調して支持固めを図る一方、対抗勢力は経済再建や民主主義の回復、EUとの関係修復を掲げ、国民の支持を訴えている。選挙まで残り約2カ月となり、国内政治の緊張は一層高まっている。

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