ハンガリー首都で野党デモ、矯正施設での児童虐待疑惑に抗議
問題となっているのは、ブダペストにある国営の少年矯正施設で公開された映像。収容されていた未成年者に対して職員が身体的な暴行を加える様子が記録されていた。
のマジャル党首(中央右)(AP通信).jpg)
ハンガリーの首都ブダペストで13日、国営の少年矯正施設での児童虐待疑惑をめぐり、与党フィデス・ハンガリー市民同盟のオルバン政権を批判する大規模な抗議デモが行われた。
デモはオルバン(Viktor Orbán)首相の最大のライバルである野党TISZA(尊敬と自由)のマジャル(Péter Magyar)党首が主導し、数万人が参加したと伝えられている。抗議者たちは被害児童の保護と、オルバン政権の責任追及を求めた。
問題となっているのは、ブダペストにある国営の少年矯正施設で公開された映像。収容されていた未成年者に対して職員が身体的な暴行を加える様子が記録されていた。この映像の公開を受け、検察当局はこれまでに複数の関係者を拘束し、同施設の元管理者が売春斡旋や人身売買などの疑いで警察の捜査対象となっていることが明らかになった。
抗議デモは冷え込みの厳しい中で行われ、参加者たちは「子どもを守れ(Protect the children!)」と書かれた横断幕を掲げ、ぬいぐるみや松明を手に行進した。デモ隊は市内を行進した後、首相府に向かい、オルバン氏に抗議した。
参加者の一人はロイター通信の取材に対し、「他国ならこのようなスキャンダルで政権は崩壊しているだろう。しかしハンガリーでは政権が権力にしがみついている」と語った。
マジャル氏は演説で、この虐待疑惑と昨年の政治危機を結び付け、オルバン政権の児童保護政策を強く批判した。
またマジャル氏は児童虐待をめぐる騒動が昨年も政治問題化し、大統領や法相が辞任する事態になったことについて、、「政府は約束したにもかかわらず、結局は加害者側に立った」と主張した。
来年4月に予定されている総選挙を前に、野党はオルバン政権への圧力を強めている。
一方、オルバン政権は映像の虐待を非難しつつも、犠牲となった未成年者がそもそも犯罪行為などに関与していたとして、施設を矯正施設として位置付ける見解を示している。政府報道官は今回の事案に対して正式なコメントを出していないが、虐待の疑いがあるケースを明るみにすることで、児童保護体制が機能しているとの主張も一部で展開している。
この児童虐待疑惑はハンガリー国内で政府批判を強める一因となっており、野党はこれを政権交代を訴える材料と位置付けている。オルバン氏率いるフィデスは2010年以降、強力な支配力を維持しているが、今回のスキャンダルが今後の世論や選挙の動向に影響を与えるかどうかが注目される。
