ハンガリー総選挙、米副大統領がオルバン首相への支持表明、緊張高まる中
バンス氏はオルバン氏と共同記者会見を行い、「できる限り支援したい」と述べるとともに、オルバン氏の政治姿勢を高く評価した。
とバンス米副大統領(AP通信).jpg)
米国のバンス(JD Vance)副大統領がハンガリーを訪れ、4月12日に予定されている総選挙を前に、同国のオルバン(Viktor Orbán)首相への支持を有権者に呼びかけた。バンス氏は7日、首都ブダペストで開催された選挙集会に参加し、「西洋文明の擁護者」としてオルバン氏を称賛、再選へ向けて支援を訴えた。オルバン氏はEUにおけるトランプ(Donald Trump)米大統領の盟友である。
バンス氏はオルバン氏と共同記者会見を行い、「できる限り支援したい」と述べるとともに、オルバン氏の政治姿勢を高く評価した。またバンス氏は進歩主義や欧州連合(EU)の影響力を批判し、ハンガリーが国の主権と伝統的価値を守るために戦っていると表現した。さらに、EUの「官僚主義」や選挙介入の試みに矛先を向け、欧州の政治的自由を守るためオルバン氏の再選が必要だと訴えた。
地元メディアによると、この集会には数千人の支持者が集まった。バンス氏は壇上から「選挙に行き、オルバンを支えよう」と呼びかけた。演説中には携帯電話でトランプ氏に電話をつなぎ、トランプ氏がスピーカー越しにオルバン氏を「素晴らしい男だ」と称賛する場面もあった。トランプ氏はハンガリーへの強い愛情とオルバン氏への支持を表明し、「もし彼がよい仕事をしていないと思ったら。私はこんな支援をしない」と語った。
オルバン氏は2010年から政権を維持し、今回の選挙で5期目を目指している。だが近年の選挙では支持率が低下し、最大野党TISZA(尊敬と自由)のマジャル(Péter Magyar)党首が優勢と伝えられている。独立系の世論調査では、オルバン氏率いる与党フィデス・ハンガリー市民同盟が後れを取っているとの結果も出ている。
オルバン氏は親EU派から報道機関の統制、腐敗の温床化、司法や立法機関の制約といった民主主義の後退を指摘されているが、これらを否定している。彼はEUや国際機関からの批判を「ハンガリーへの干渉」と位置付け、国民の主権を守ることを訴えてきた。バンス氏もこうした立場を支持し、EUを批判する発言を繰り返している。
バンス氏の行動は米国の外交慣行から逸脱するものとして物議を醸している。通常、米国高官が他国の選挙で特定候補を公然と支持することは避けられてきたが、今回の訪問は例外的なものだと複数の分析が指摘している。米国が他国の選挙に関与をすることは歴史的にも稀であり、欧州内外からは民主主義や主権に対する懸念の声が上がっている。
また、今回の支持表明は単なる外交以上の意味を持つ可能性がある。オルバン氏はロシア産エネルギーへの依存を維持し、ウクライナ支援に反対する立場をとるなどEUの主流路線と対立してきた。米側もエネルギー政策や移民問題でオルバン氏と価値を共有し、今回の訪問は欧州における影響力の争いが背景にあるとの見方もある。
選挙日まで残り数日となり、バンス氏の支援がオルバン氏の支持率にどれほど影響を与えるかは不透明だ。だが、今回の訪問はハンガリー国内外の政治的緊張を一段と高め、欧州の選挙プロセスに対する外国の干渉や影響力行使に関する議論を再燃させている。
