ロシアの石油収入激減、米・EUの制裁圧力、市民生活に影響も
ロシア政府が石油・ガス産業への課税によって得た国家収入は、今年1月に3930億ルーブル(約7840億円)にまで落ち込んだ。
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ロシアの原油輸出は長年にわたり国家財政の“金のなる木”となり、ウクライナ侵攻後の戦費を支える重要な収入源だった。しかし、米国やEUなどによる制裁措置により、その収入は急激に減少している。侵攻開始から5年目を迎える中、ロシア経済は戦争経済下での財政運営に深刻な圧力を受けている。
ロシア政府が石油・ガス産業への課税によって得た国家収入は、今年1月に3930億ルーブル(約7840億円)にまで落ち込んだ。これは昨年12月の5870億ルーブルや、2025年1月の1兆1200億ルーブルと比べても大幅な減少であり、パンデミック期以来の低水準となっている。
この収入減少の背景には、米国とEUによる制裁強化、そしてインドに対する関税圧力がある。米国では25年11月にロシア最大の石油企業ロスネチフとルクオイルに対する制裁が発動、これら企業の原油を購入したり輸送したりする者は米国の銀行システムから締め出されるリスクを負うことになった。EUは1月からロシア産原油を原料とする精製燃料の輸入を禁止し、さらに原油の海上輸送サービス全般を禁止する案も提案している。
これら措置は制裁を逃れるためにロシアが構築してきた“影の船団(制裁回避タンカー船隊)”にも圧力をかけている。買い手側は制裁違反のリスクや取引の手間を避けるため、ロシア産原油に大幅な割引を要求するようになり、主要輸出品種であるウラル原油は国際的なベンチマークであるブレント原油と比べて安く取引されている。この価格差拡大も税収減少の一因となっている。
ロシア政府は財政の均衡を保つために対策を講じている。付加価値税(VAT)率を20%から22%に引き上げ、車やたばこ、アルコールへの税も引き上げたほか、国債発行による借り入れを国内銀行から積極的に行っている。また、国家財政の予備基金も活用して不足分を補っている。
しかし、こうした措置は逆に経済成長を鈍化させるリスクも抱えている。ロシアの経済成長率は戦争中の刺激策が限界に達し、低迷している。2025年の国内総生産(GDP)はほぼ停滞し、労働力不足も成長の足かせとなっている。成長鈍化により税収自体がさらに減少する可能性が指摘されており、インフレ抑制のための高い金利も企業や消費者の負担を増している。
専門家は、このまま制裁圧力が継続されれば、ロシア政府が戦争遂行費を維持するための選択肢がさらに限られる可能性があると指摘する。短期的に和平交渉に踏み切る可能性は低いものの、戦闘強度を下げるような戦略的な変更を検討せざるを得ない状況に至るとの見方も出ている。
制裁の効果を巡っては国際社会内でも議論が続いているが、原油収入がロシア財政に占める割合が依然として大きいだけに、制裁による圧力が今後の政治・軍事動向に与える影響は無視できないものとなっている。
