◎ポーランドとドイツ当局はオーデル川で発生した魚の大量死の原因を突き止めようとしている。
ポーランド政府は13日、オーデル川で魚が大量死した問題について、研究機関でサンプルを調査した結果、水銀などの化学物質は検出されなかったと報告した。
環境省の報道官は記者団に対し、「回収した魚のサンプルから高濃度の塩分が検出されたものの、化学物質は検出されなかった」と説明した。
また報道官は、「サンプル調査は継続中」とした。
オーデル川の源流点はチェコ北東部の山脈で、そこからポーランドとドイツを通過し、バルト海に流れ込む。延長は854km。流域面積約12万㎢のうちポーランド領内の面積は89%、チェコが6%、ドイツが5%となっている。
ポーランドとドイツ当局はこの川で発生した魚の大量死の原因を突き止めようとしている。
ポーランドの河川を管理するポリッシュ・ウォーターズ(Polish Waters)は11日、これまでに魚の死骸10トンを回収したと報告した。
ドイツ通信社(dpa)などによると、オーデル川の広い範囲に魚の死骸が流れ着き、異臭を放っているという。ポーランドの一部地域の浅瀬には数千匹が流れ着いたと報告されている。
ポーランドのモラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は「化学廃棄物が意図的に投棄された可能性がある」とフェイスブックに投稿している。
しかし、今のところ化学物質は検出されていないようだ。
ドイツ政府はオーデル川に近づかないよう流域の住民に呼びかけている。
環境保護団体や活動家は両国政府の対応の遅れを非難している。
ポーランドのモラウィエツキ氏は12日、この問題への対応を巡って環境部門の高官2人を解任した。
モラウィエツキ氏はフェイスブックに投稿した声明で、「当初この問題は局所的なものと思われていたが、その後の調査で非常に大規模な環境汚染であることが判明した」と説明した。
またモラウィエツキ氏は、「汚染の規模は非常に大きく、川の生態系が回復するまでには何年もかかる可能性がある」と警告した。
一部のドイツメディアは「水銀が投棄された可能性がある」と報じたが、両政府とその他の関係機関は化学物質を特定していない。
ドイツのレムケ(Steffi Lemke)環境相は13日、ポーランドと協力してこの問題の調査を進め、原因究明に全力で取り組んでいると述べた。
ポーランド南西部の町近くでビーバーや魚の死骸が最初に発見されたのは7月下旬と報告されている。
専門家によると、オーデル川は確認できているだけで40種の魚が生息する中欧の中でもきれいな川と考えられていた。
しかし、ドイツ東部ブランデンブルク州政府は今週、「オーデル川のサンプルを調査した結果、水中に何かしらの異物が含まれているという調査結果が示された」と報告した。
ポーランドの調査サイト「OKO.pres」によると、流域に生息する野鳥やアヒルも影響を受けているという。
OKO.presも「調査結果はオーデル川が水銀で汚染されていることを示唆している」と指摘した。ただし、水銀が投棄された証拠は今のところ確認できていないとした。
ドイツのドイチェ・ヴェレは専門家の話を引用し、「川の浚渫(しゅんせつ)工事で過去に投棄された水銀が川底から姿を現し、溶け出した可能性がある」と報じている。
浚渫とは港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り除く土木工事である。
一部の環境専門家は歴史的な高温と干ばつで水量が減少し、水中にもともと含まれていた異物の濃度が高まり、大量死につながったと指摘している。