◎イタリア、ギリシャ、スペインはアフリカやトルコの移民を自分たちだけに押し付けるなと反論している。
イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相は11日、亡命希望者を乗せた船の受け入れを拒否した問題でフランス政府に批判されたことについて、「理解しがたい」と反論した。
反移民政策を推進するメローニ政権はリビア発の移民船を救助したNGO船3隻の入港を阻止し、批判を浴びていた。
フランス政府は11日、NGO船1隻を受け入れることに同意した。
この発表にメローニ氏の右腕であるサルビーニ(Matteo Salvini)副首相は歓喜した。「ありがとう!」
EU最強の極右指導者であるハンガリーのオルバン(Viktor Orban)首相はメローニ氏の決定を称賛している。「欧州の国境を共に守ろう!」
しかし、報道によると、フランス政府はNGO船の受け入れに合意したのではなく、「合意に追い込まれた」とという。
AFP通信は政府筋の話を引用し、「受け入れるしかなかった」と報じている。
フランスのダルマナン(Gerald Darmanin)内相は11日の記者会見で、「移民救助船オーシャン・バイキングの入港を例外的に許可した」と説明した。
またダルマナン氏はメローニ氏を「利己的」と非難し、「今回のような行動は深刻な結果を招く」と警告した。
メローニ氏は11日の記者会見でダルマナン氏の攻撃的な反応に衝撃を受けたと述べ、理解しがたいと応戦した。
EUの執行機関である欧州委員会はアフリカ北部の亡命希望者の受け入れ拠点になってきたイタリアの方針転換に懸念を示している。
フランス政府はイタリアに渡った移民3500人を受け入れるという合意を一時中断し、他のEU加盟国にも同じことをするよう求めている。
メローニ氏は「イタリアを孤立させても良いことはない」と警告している。
またメローニ氏は、「イタリアは今年約9万人の移民を受け入れたが、フランスが受け入れたNGO船はオーシャン・バイキングが初めてだ」と反撃した。「フランスは移民を全く受け入れていないにもかかわらず、イタリアにしっかりしろと命令しています...」
イタリア、ギリシャ、スペインはアフリカやトルコの移民を自分たちだけに押し付けるなと反論している。
イタリアのシチリア島とランペドゥーサ島にはアフリカと中東の移民。ギリシャの島々には中東の移民。スペイン(アフリカの飛び地含む)にはモロッコの移民などが殺到している。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は反移民を推進する極右国民党のルペン(Marine Le Pen)議員の圧力に直面している。
ルペン氏は11日、移民受け入れを「甘々」と糾弾し、「マクロンはイスラム過激派を受け入れ、フランスを破壊しようとしています」と主張した。「甘いマクロンは劇的な甘さで移民を受けいれてしまいました」
フランスでは賃上げを求めるデモやストが相次いでおり、今回の移民問題は混乱に拍車をかける可能性がある。ルペン氏は2019年の黄色いベスト運動に言及し、「政府は国民の要求に従え!」と命じた。
米国寄りのEU加盟国がこれほど公然とお互いを批判するのは珍しい。