SHARE:

ノルウェー大使、エプスタイン氏との接触巡る疑惑を受け辞任

ユール氏はこれまで中東や欧州で要職を歴任してきたベテラン外交官であり、特に1990年代のイスラエル・パレスチナ和平交渉(オスロ合意)への関与で国際的にも知られていたが、今回の辞任は同国の外交・政治の信頼性に大きな波紋を投げかけている。
エプスタイン文書の一部(ABCニュース)

ノルウェー政府は9日、同国の駐ヨルダン大使であるモナ・ユール(Mona Juul)氏が、米国の故ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Edward Epstein)元被告との接触を巡る疑惑の中で辞任したと発表した。ユール氏はこれまで中東や欧州で要職を歴任してきたベテラン外交官であり、特に1990年代のイスラエル・パレスチナ和平交渉(オスロ合意)への関与で国際的にも知られていたが、今回の辞任は同国の外交・政治の信頼性に大きな波紋を投げかけている。

ノルウェー外務省によると、ユール氏は先週、ヨルダン大使としての職務を一時停止されていたが、エプスタイン氏が2019年にニューヨーク州の拘置所で自殺する直前に作成した遺言で、ユール氏とその夫の子どもたちに1000万ドルが遺贈されていたとの報道を受け、辞任を決断したという。ノルウェー外務省はユール氏の辞任について「適切かつ必要な決断である」と述べ、エプスタイン氏との接触が「重大な判断の誤り」を示しており、「職務に求められる信頼を回復することは困難である」との認識を示した。

外務省はユール氏の辞任後も調査を継続すると強調。ユール氏本人は同省との協議を続け「事実関係を明らかにする」と表明している。また、政府はユール氏の夫がかつて代表を務めていたニューヨーク拠点のシンクタンク「国際平和研究所」への過去の助成金や関係性についても見直しを始めた。これについてノルウェー政府は、夫もエプスタイン氏に関する判断について「適切でなかった」と述べている。

ノルウェー当局はユール夫妻に対する捜査を進め、ユール氏は職務を利用した汚職の疑いで、夫は汚職幇助の疑いでそれぞれ調査対象となっている。捜査ではユール氏が大使の立場を利用してエプスタイン関連の利益を受けたかどうかなどが焦点となり、オスロ市内のアパートや関係者宅に捜査が及んだとも報じられている。

ユール氏は声明で、エプスタイン氏との接触は夫との関係に起因するものであり、独自の公的・私的な関係はなかったと説明しつつも、「接触がまばらで私的なものであった」と述べ、より慎重であるべきだったとの認識を示した。また外交官としてエプスタイン氏との関わりについて「最小限」と説明してきたが、その表現が「不正確」であったことも認めている。

この問題はノルウェー国内におけるエプスタイン関連の疑惑が広がる中で発生している。同国の王太子妃も過去の関係について謝罪し、元首相もエプスタインとの関係を巡って汚職捜査を受けている。これらの広範な疑惑は、米司法省が公開したエプスタイン文書によって明らかになったもので、欧州を含む国際社会で影響が波及している。

ユール氏の辞任はノルウェー政府にとって信頼回復に向けた喫緊の課題であり、今後の調査結果や政治的対応に注目が集まっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします