◎国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)の撤退はノルウェーをはじめとする在外公館や国際機関の運営・安全保障に影響を及ぼす。
ノルウェーのヴィットフェルト外相(EPA通信)

ノルウェー政府は8月31日、治安の悪化を理由に西アフリカ・マリの大使館を閉鎖すると発表した。

ヴィットフェルト(Anniken Huitfeldt)外相は声明で、「国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)の撤退はノルウェーをはじめとする在外公館や国際機関の運営・安全保障に影響を及ぼす」と述べている。

マリ軍政は今年6月、10年以上にわたるイスラム過激派の反乱に対処できなかったとして、MINUSMAに撤退を要求。国連安保理はこれを受け、MINUSMAの活動終了および年内撤退を全会一致で採択した。

ヴィットフェルト氏は首都バマコの在マリ・ノルウェー大使館について、「年内に閉鎖し、自国民の命・生活・安全を確立する体制を敷く必要がある」とした。

同大使館はブルキナファソ、モーリタニア、ニジェール、チャドのノルウェー国民の受け付けも担当している。

マリ軍政を率いるゴイタ(Assimi Goita)大佐は昨年、駐仏軍とEU軍に徹底を命じた。

MINUSMAは1万5000人以上の兵士で構成され、世界で最も危険なPKOと呼ばれている。国連によると、この任務中に死亡したPKO要員は少なくとも170人にのぼる。

マリは2012年以来、イスラム過激派の反乱を封じ込めるために奮闘してきた。

フランスが主導する連合軍は昨年、マリ北部の都市から過激派勢力を追い出したものの、それは砂漠で再編成され、攻撃を再開した。

マリの治安悪化は西・中央アフリカのサヘル地域の不確実性を高めている。同国では2020年以降、2度クーデターが発生し、軍政が発足したものの、過激派の暴力を止めることはできず、事態は悪化の一途をたどっている。

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