◎シン・フェインは北アイルランド紛争でテロ攻撃を繰り返した過激派組織IRA(アイルランド共和軍)のかつての政治部門である。
英主要メディアは7日、統一アイルランドを目指すナショナリスト政党「シン・フェイン」が北アイルランド議会選で第一党に躍進したと報じた。
5日に行われた投票の集計はほぼ終了し、シン・フェインが定数90のうち27議席を獲得し、20年にわたって連立政権を率いたプロテスタント系の民主統一党を破った。
<北アイルランド議会選 開票率100% 定数90>
▽シン・フェイン:27議席(29.02%)
▽民主統一党:25議席(21.33%)
▽同盟党:17議席(13.53%)
▽UUP:9議席(11.17%)
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シン・フェインは北アイルランド紛争でテロ攻撃を繰り返した過激派組織IRA(アイルランド共和軍)のかつての政治部門で、アイルランドの統一とイギリスからの独立を目指している。
シン・フェインのオニール(Michelle O’Neill)副党首は7日、「新しい時代が到来した」と支持者に語った。「宗教、政治、社会的背景に関係なく、この国の政治を機能させることが私たちの使命です!」
オニール氏は速やかに連立政権を発足・機能させる必要があると強調した。6カ月以内に連立交渉がまとまらなければ、再び議会選に突入することになる。
オニール氏は、「北アイルランドをひとつにまとめ上げる時が来た」と語った。「行政府を復活させ、国民の懐に金を戻し、医療サービスを改善するのです。国民を待てせてはいけない!」
シン・フェインの歴史的な勝利は「組合至上主義」政党への不信感の高まりを示している。ただし、北アイルランド議会の複雑な権力分立と、ブレグジット後に勃発したイングランドに対する怒りに起因する複数の問題がどう進展するかは不明である。
IRA主導の数十年にわたる紛争に終止符を打った1998年の和平協定が定める強制的な権力分立により、副首相は第二党の議員が務めることになった。しかし、民主統一党はシン・フェイン政権には協力しないと示唆している。
また民主統一党は、北アイルランド議定書として知られるブレグジット後の国境取り決めに大きな変更がない限り、新政権への参加を拒否すると主張している。
この規則は、イギリスの他の地域から北アイルランドに入る一部の物品に関税と国境チェックを課している。この取り決めは、北アイルランドとEU加盟国のアイルランドの間に開かれた国境線を保つためのものである。
しかし、多くの組合員が国境チェックのせいで交易に無駄な時間がかかると激怒し、統一アイルランドを目指す勢力は「イングランドは北アイルランドの独立を阻止しようとしている」と反発した。
民主統一党のギバン首相は2月、この取り決めに抗議して辞任を表明、政治危機を引き起こした。
シン・フェインは今回の選挙戦で物議を醸してきたアイルランドの統一にはほとんど触れず、インフレへの対応に焦点を当て支持を集めた。