◎グルエフスキ氏は最初の有罪判決が確定する前にハンガリーに逃亡した。
北マケドニアの裁判所は21日、ハンガリーに逃亡したグルエフスキ(Nikola Gruevski)元首相に禁固9年の実刑判決を言い渡した。
グルエフスキ氏は2011年、政敵が所有する数百万ドルの住宅と複合施設の取り壊しを命じ、職権濫用罪で起訴された。
首都スコピエの裁判所はこの取り壊しを、グルエフスキ氏の連立政権から離脱して野党に加わったカノスキ(Fijat Canoski)議員に対する「復讐行為」と認めた。
取り壊しに関わった元市長、元自治体職員、そして元運用相の3人も禁固刑と合計1100万ユーロ(約15億円)の罰金刑を言い渡された。
同じく起訴された元政府高官3人は無罪となった。
グルエフスキ氏が有罪判決を受けたのは2016年の退任以来、これで4度目。
2018年には公用車を購入するにあたり、内務省職員に圧力をかけたとして禁固2年を言い渡された。
2020年には政敵に対する暴力を指揮した罪で1年半の禁固刑。2022年4月には党の資金を私的に流用した罪で禁固7年を言い渡された。
グルエフスキ氏は最初の有罪判決が確定する前にハンガリーに逃亡した。同氏は逃亡時、ソーシャルメディアの投稿で、フランツ・カフカ(Franz Kafka)の小説「審判」の主人公で理由も分からぬまま裁判にかけられ処刑されるヨーゼフ・Kに自分をなぞらえていた。
グルエフスキ氏をめぐっては、汚職、選挙の不正、職権乱用でさらに2件の訴訟が係属中である。この裁判は2015年に発覚した盗聴スキャンダルに端を発しており、グルエススキ政権は政治家、裁判官、警察、ジャーナリスト、外交官など、2万人以上の電話を盗聴・録音していたことが明らかになった。
このスキャンダルでグルエフスキ政権は崩壊した。